保険研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任
三原 岳(みはら たかし)
研究領域:
研究・専門分野
医療・介護・福祉、政策過程論
生ワクチンの方は、何と申しましてもこれは実験の結果差しつかえないということが出ませんものには、お使いなさい、使って差しつかえないというわけにはいきませんから、待ち遠しいようでありましても、どうしてもこれは実験の結果をやはり得ませんと、使ってよいというわけにはいかぬのであります。
あなたのおっしゃる気持はよくわかる。わかりますけれども、さらばといって、実験もしないで、というわけにはいかぬことは、あなたが一番よく御承知だ。日本としても実験をしなければならぬ。ソ連でよかったかもしれぬけれども、日本で実験をしなければ、食生活も日本は特殊なものがあるし、また、下水とか屎尿処理の仕方も御存じの通りでありますから、実験の結果を見ないことには急いでもしようがない。
(筆者注:生ワクチン接種は他の)自由主義国は試験段階だというわけです。(筆者注:ソ連に関しては)いわゆる鉄のカーテンの中のことですから、いいといったって本当かうそかわからない。一方ではポリオがふえてくるというし、騒ぎは大きくなるし、これは困ったものだ、手がない。とどのつまりはイチかバチか、一つ生ワクを使ってみるか、見ているか、どっちかだということになったのです。
何とか決心しなきゃならないなと思って、肚がきまらないものだから(筆者注:愛宕山や浜離宮に)散歩に出たりしていたのですが、どうもこれは手がない。専門家の方で相談してみてくれといったのだが、大体大部分、いい方に皆が見るけれども、(筆者注:専門家は)「いい」とは言い切らない。
こういう状況だから下手なことが起こったら、責任は専門家にも事務当局にもないんだ、私一人にあるんだと。どういう結果が出ても、ということを明らかにしておこう。それで新聞記者を集めて、声明文を発表して、私に責任があるということで……。
責任は私一人にあるといったのだけれども、しくじったときは一体どうしたものだろうということを思っていましたよ。厚生大臣をやめるぐらいはたやすいことだし、それから政治家をやめるぐらいはたやすいが、しかしたくさんの犠牲者が出たときはそれで済まない。その場合はどうしたものだろうかと思って行き詰まってね。(略)私の政治生活の中の、たしかに一つの勝負でしたね。本当に、しくじったらどうしようか。ぎりぎりになって行き詰まって……。
保険研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任
研究領域:
研究・専門分野
医療・介護・福祉、政策過程論
プロフィール
【職歴】
1995年4月~ 時事通信社
2011年4月~ 東京財団研究員
2017年10月~ ニッセイ基礎研究所
2023年7月から現職
【加入団体等】
・社会政策学会
・日本財政学会
・日本地方財政学会
・自治体学会
・日本ケアマネジメント学会
【講演等】
・経団連、経済同友会、日本商工会議所、財政制度等審議会、日本医師会、連合など多数
・藤田医科大学を中心とする厚生労働省の市町村人材育成プログラムの講師(2020年度~)
【主な著書・寄稿など】
・『必携自治体職員ハンドブック』公職研(2021年5月、共著)
・『地域医療は再生するか』医薬経済社(2020年11月)
・『医薬経済』に『現場が望む社会保障制度』を連載中(毎月)
・「障害者政策の変容と差別解消法の意義」「合理的配慮の考え方と決定過程」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク編『トピック別 聴覚障害学生支援ガイド』(2017年3月、共著)
・「介護報酬複雑化の過程と問題点」『社会政策』(通巻第20号、2015年7月)ほか多数