後期高齢者の医療費負担はどう変わるのか-難航した政府・与党の議論、曲折の末に決着

2020年12月22日

(三原 岳) 医療

■要旨

75歳以上の後期高齢者が医療機関で支払う自己負担の見直し論議が決着した。この問題では昨年来、原則1割の自己負担を2割に引き上げる際の所得基準などを巡り、関係団体や政府・与党の調整が難航。最終的に単身で年金収入200万円以上の75歳以上高齢者については、2022年度後半以降、2割負担に引き上げることで決着した。

しかし、実質的には月単位で一定額以下に医療費を抑えられる高額療養費制度で負担は軽減されるため、実質的な意味は乏しい面もある。本稿は制度改正の内容や経緯を見た上で、高齢者医療費の自己負担問題が政治的なシンボルとしての側面を持っている点を指摘し、長く見積もって40年以上に渡る長年の議論に終止符を打つ必要性を強調する。

■目次

1――はじめに
2――制度改正の内容
  1|現行制度との変更点
  2|後期高齢者医療制度の仕組み
3――決着までのプロセス
  1|結論を先送りしていた昨年末の議論
  2|厚生労働省が5つの選択肢を提示
  3|政府・与党での調整
4――今回の意義付け
  1|現役世代の負担軽減
  2|年齢だけに着目した不合理なシステムの部分修正
5――おわりに

保険研究部   上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任

三原 岳(みはら たかし)

研究領域:

研究・専門分野
医療・介護・福祉、政策過程論

経歴

プロフィール
【職歴】
 1995年4月~ 時事通信社
 2011年4月~ 東京財団研究員
 2017年10月~ ニッセイ基礎研究所
 2023年7月から現職

【加入団体等】
・社会政策学会
・日本財政学会
・日本地方財政学会
・自治体学会
・日本ケアマネジメント学会

【講演等】
・経団連、経済同友会、日本商工会議所、財政制度等審議会、日本医師会、連合など多数
・藤田医科大学を中心とする厚生労働省の市町村人材育成プログラムの講師(2020年度~)

【主な著書・寄稿など】
・『必携自治体職員ハンドブック』公職研(2021年5月、共著)
・『地域医療は再生するか』医薬経済社(2020年11月)
・『医薬経済』に『現場が望む社会保障制度』を連載中(毎月)
・「障害者政策の変容と差別解消法の意義」「合理的配慮の考え方と決定過程」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク編『トピック別 聴覚障害学生支援ガイド』(2017年3月、共著)
・「介護報酬複雑化の過程と問題点」『社会政策』(通巻第20号、2015年7月)ほか多数

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