年代別に見たコロナ禍の行動・意識の特徴~食生活編-若いほど外食再開の一方でオンライン飲み会にも積極的、共働き・子育て世帯で中食需要増

2020年12月16日

(久我 尚子) ライフデザイン

■要旨
 
  • 20~69歳全体では、コロナ禍で外食需要の回復が厳しい状況にある中で、外食需要の一部が中食需要へシフトするとともに、中食需要自体も一層増している。背景には、テイクアウト等に対応する飲食店の増えサービスとして魅力が増したことに加え、利便性重視志向の高い共働き世帯の増加など中長期的な世帯構造変化の影響がある。
     
  • 年代別には、若いほどビフォーコロナと同様に外食を利用・再開しており、新型コロナウイルスの感染による重篤化リスクの高い高年齢ほど外食の利用を控えている。中食は全ての年代で増加傾向にあるが、特に低年齢児のいる共働き世帯をはじめとした20・30歳代など、ビフォーコロナから中食や外食需要の強い層が牽引している。
     
  • オンライン飲み会・食事会は、現在のところ、多数派ではないが、若いほど利用者が多く増加傾向にある。これは、若いほどデジタル手段の利用水準が高いほか、友人との飲み会などに積極的であることも影響しているのだろう。
     
  • ポストコロナでは、年代によらず外食再開の動きが強まるだろう。一方、中食需要の強まりは、中長期的な世帯構造の変化が影響しているため、今後も堅調に推移すると見られる。今後とも利便性を重視する世帯が増えるため、人口減少下においても、外食と比べて市場規模の小さな中食市場は拡大の余地があるだろう。


■目次

1――コロナ禍における外食やデリバリーなどの食生活の変容
  1|全体の状況
  ~コロナ禍で厳しい外食需要、外食需要の一部が中食シフト、中食需要自体も増している
  2|年代別の状況
  ~若いほど外食再開しオンライン飲み会にも積極的、共働き・子育て世帯で中食需要増
2――まとめ
  ~ポストコロナでは外食再開の動きが強まるが、中食市場は堅調に推移・拡大の余地あり

生活研究部   上席研究員

久我 尚子(くが なおこ)

研究領域:暮らし

研究・専門分野
消費者行動、心理統計、マーケティング

経歴

プロフィール
【職歴】
 2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
 2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
 2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
 2021年7月より現職

・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)

【加入団体等】
 日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
 生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society

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