Z世代の情報処理と消費行動(5)-若者の「ヲタ活」の実態

2020年03月03日

(廣瀨 涼) 消費者行動

■要旨

筆者は、ここまでのZ世代に関するレポートを通して、「クラスタ」という言葉を多用してきた。若者文化の文脈では「クラスタ」とは"仲間や〇〇が好きな人たち"という意味で「オタク」と同義で使われている。 併せて、若者はオタクという言葉自体を"趣味"という意味合いで使用するため、オタクを趣味から転じてアイデンティティと同義で使っている。実際にSNSを見ると「#〇〇ヲタさんと繋がりたい」「#隠しきれないオタク」など、オタクという言葉を媒介にして、同じ趣味を持つ人たちと繋がろうとしている。

廣瀨(2019b)で論じたが、オタクという言葉が「マニア」や「コレクター」という意味を含むことから、Z世代においては、それ以前の世代がオタクという言葉に対して持つようなネガティブなイメージを抱いてはいない。むしろ何かしらの対象や趣味に熱中している人というポジティブな印象が持たれているらしく、自身がオタクであるということを積極的にアピールしているように思われる。本レポートでは、若者の間で行われている「ヲタ活(オタク活動)」に焦点を置き、その実態を検証する。

■目次

1――オタクを公言する若者たち
2――若者にとってのオタク
3――「ヲタ活」とは
4――筆者が「ヲタ活」に対しておぼえた二つ目の違和感
5――ヲタ活の実態
6――若者の考えるオタク像
7――まとめ

生活研究部   研究員

廣瀨 涼(ひろせ りょう)

研究領域:暮らし

研究・専門分野
消費文化、マーケティング、ブランド論、サブカルチャー、テーマパーク、ノスタルジア

経歴

【経歴】
2019年 大学院博士課程を経て、
     ニッセイ基礎研究所入社

・令和6年度 東京都生活文化スポーツ局都民安全推進部若年支援課広報関連審査委員

【加入団体等】
・経済社会学会
・コンテンツ文化史学会
・余暇ツーリズム学会
・コンテンツ教育学会
・総合観光学会

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