介護保険制度が直面する「2つの不足」(上)-3年に一度の見直し論議が本格化へ

2019年07月05日

(三原 岳) 医療

■要旨

社会保障制度審議会(厚生労働相の諮問機関)介護保険部会で、3年に一度の介護保険制度に向けた見直し論議が進んでいる。今回のテーマとしては、介護予防の強化など5つの「検討事項」が挙がっており、2021年度の制度改正に向けて、有識者や業界団体などで構成する介護保険部会の議論が年内までに本格化する見通しだ。

では、これらの点について、どんな議論が考えられるのだろうか。あるいは背景として、何が考えられるのだろうか。介護保険部会では2月から議論が始まり、6月までに計4回の会合を重ねているが、本レポートは介護保険部会に提出された厚生労働省の資料に加えて、6月に決定された認知症施策推進大綱や「経済財政運営と改革の基本方針2019(以下、骨太方針2019)」を基に、全2回で2021年度制度改正を占うこととする。

(上)では介護保険部会で「横断的な検討事項」として挙がっている5つの点を考察し、「介護保険財源の不足」「介護現場における労働力の不足」という「2つの不足」が制約条件となる中、多様化・複雑化するニーズに対応しなければならない難しさを浮き彫りにする。

さらに、(下)では制度改正の柱のうち、「介護予防・日常生活支援総合事業」(以下、新しい総合事業)や、高齢者が体操などで日常的に集える「通い」の場の拡大など、地域づくりを巡る論点や課題を考察する。

■目次

1――はじめに~介護保険制度の見直し論議がスタート~
2――次期改正の5大テーマ
3――5つの「検討事項」の概要と制度改正の方向性
  1|介護予防・健康づくりの推進
  2|保険者機能の強化
  3|地域包括ケアシステムの推進
  4|認知症「共生」「予防」の推進
  5|持続可能な制度の再構築・介護現場の革新
4――5つの「検討事項」の評価
5――「2つの不足」と多様化・複雑化するニーズへの対応
  1|介護保険財源の不足
  2|介護現場の労働力不足
  3|多様化・複雑化するニーズへの対応
  4|介護保険を巡る課題の整理
6――おわりに

保険研究部   上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任

三原 岳(みはら たかし)

研究領域:

研究・専門分野
医療・介護・福祉、政策過程論

経歴

プロフィール
【職歴】
 1995年4月~ 時事通信社
 2011年4月~ 東京財団研究員
 2017年10月~ ニッセイ基礎研究所
 2023年7月から現職

【加入団体等】
・社会政策学会
・日本財政学会
・日本地方財政学会
・自治体学会
・日本ケアマネジメント学会

【講演等】
・経団連、経済同友会、日本商工会議所、財政制度等審議会、日本医師会、連合など多数
・藤田医科大学を中心とする厚生労働省の市町村人材育成プログラムの講師(2020年度~)

【主な著書・寄稿など】
・『必携自治体職員ハンドブック』公職研(2021年5月、共著)
・『地域医療は再生するか』医薬経済社(2020年11月)
・『医薬経済』に『現場が望む社会保障制度』を連載中(毎月)
・「障害者政策の変容と差別解消法の意義」「合理的配慮の考え方と決定過程」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク編『トピック別 聴覚障害学生支援ガイド』(2017年3月、共著)
・「介護報酬複雑化の過程と問題点」『社会政策』(通巻第20号、2015年7月)ほか多数

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