まず、共働き世帯の家計管理方法について見ると、全体では「妻が管理」(53.8%)が過半数を占めて圧倒的に多く、次いで、「共同管理」(14.2%)、「一部共同管理」(11.2%)、「支出分担のみ」(10.7%)が1割台で続く(図表3)。
年代別には、いずれも「妻が管理」が最も多く、年齢が高いほど多い。一方で「共同管理」や「支出分担のみ」は若いほど多い傾向がある。なお、25~29歳では「共同管理」や「支出分担のみ」など、夫婦どちらかに偏らない管理方法が約半数にもなる。
子どもの有無別には、どちらも「妻が管理」が最も多いものの、子どもなしは36.5%、子どもありは60.0%と差がひらく。子どもなしでは「共同管理」が2割を超えて多く、「支出分担のみ」なども含めた夫婦どちらかに偏らない管理方法が過半数を占める。
妻の就業状態別には、いずれも「妻が管理」が最も多いが、「妻が管理」は非正規雇用者で最も多く、正規雇用者や自営業・自由業では「共同管理」や「一部共同管理」が多い。
妻の年収別にも、年収によらず「妻が管理」が最も多いが、高年収ほど「妻が管理」が減り、「共同管理」など、夫婦どちらかに偏らない管理方法が増える傾向がある。年収700万円以上では「妻が管理」と「共同管理」、「一部共同管理」がそれぞれ約4分の1を占めて同程度であり、夫婦どちらかに偏らない管理方法が6割を超える(サンプル数が少ないため参考値)。
なお、子どものいる世帯では「共同管理」が少なかったが、妻の年収が700万円以上の世帯では、子どもがいても、700万円以上全体と同様、「妻が管理」と「共同管理」、「一部共同管理」が同程度であり(図略)、子どもの有無より年収の影響の方が大きいようだ。
夫の年収別には、年収によらず「妻が管理」が最も多いものの、高年収ほど「夫が管理」が多い。また、夫の年収が1千万円以上では「一部共同管理」が2割を超えて多い。なお、夫の年収が1千万円以上の世帯では、妻の年収が低いほど「夫が管理」が多い(図略)。
以上より、妻が財布の紐を握るような昔ながらの方法ではなく、共同管理や支出分担のみなど、夫婦どちらかに偏らない方法で家計を管理する家庭は、若いほど、また、妻が高年収の世帯ほど多い。「一部共同管理」と「支出分担のみ」を合わせた『夫婦それぞれの財布を持つ』割合は、25~29歳の世帯では約3割、妻の年収700万円以上では約4割(参考値)を占める。なお、過去にも述べたが
4、共働き夫婦の年収は比例関係にある。よって、妻が高年収の世帯では夫の年収も高い。こういった世帯では家計に余裕があるために、夫婦それぞれの財布を持てるということなのだろう。
一方で、年齢が高いほど、また、子どもがいる世帯や妻がパート等の非正規雇用者で、年収が比較的低い世帯では、妻が財布の紐を握るような昔ながらの管理方法が多い。主たる生計者が夫の世帯では「稼ぐのは夫、家庭のことは妻」という役割分担意識が強いのだろう。
ところで、夫が高年収の世帯では、妻の年収が低く、夫が家計収入の多くを担う世帯ほど「夫が管理」する傾向があった。この背景には、高年収の夫ほど資産運用に関わる知識が豊富であるために、家計管理を一手に担っていることなどが考えられる。
3――共働き世帯の家計分担