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雇用関連統計25年9月-女性の正規雇用比率が50%に近づく

2025年10月31日

(斎藤 太郎) 日本経済

■要旨
 
  • 2025年9月の完全失業率は前月から横ばいの2.6%
     
  • 就業者数は前年差49万人増と38ヵ月連続の増加。男性が前年差4万人増と4カ月ぶりの増加、女性の就業者が前年比45万人増と43カ月連続の増加。女性の就業者数を季節調整値でみると、3138万人と過去最高を更新
     
  • 雇用者数(役員除く)は前年差52万人増と43カ月連続の増加。正規雇用が68万人増と23ヵ月連続で増加する一方、非正規雇用は16万人減と2ヵ月連続で減少
     
  • 女性の正規雇用比率は前月から0.1ポイント上昇の48.8%となり、調査開始以来最高水準を更新
     
  • 有効求人倍率は前月から横ばいの1.20倍


■目次

1.失業率は前月から横ばいの2.6%
2.有効求人倍率は横ばい
 

1.失業率は前月から横ばいの2.6%

1.失業率は前月から横ばいの2.6%

総務省が10月31日に公表した労働力調査によると、25年9月の完全失業率は前月から横ばいの2.6%(QUICK集計・事前予想:2.5%、当社予想も2.5%)となった。

労働力人口が前月から25万人の増加となる中、就業者数が前月から24万人増加し、失業者数は前月から2万人増加の181万人(いずれも季節調整値)となった。失業者数は前月から若干増加したが、就業者数が前月から大幅に増えており、内容的には悪くない。
就業者数は前年差49万人増(8月:同20万人増)と38ヵ月連続で増加し、増加幅は前月から拡大した。男女別には、男性が前年差4万人増と4ヵ月ぶりに増加、女性が前年差45万人増と43ヵ月連続で増加した。女性の就業者数(季節調整値)は前月から13万人増の3138万人となり、過去最高を更新した。
産業別には、製造業(前年差16万人減)、卸売・小売業(同13万人減)は6ヵ月連続で減少したが、宿泊・飲食サービス業(同12万人増)が2ヵ月ぶりに増加し、医療・福祉(前年差28万人増)は13ヵ月連続で増加した。

雇用者数(役員を除く)は前年に比べ52万人増(8月:同36万人増)と43ヵ月連続で増加した。雇用形態別にみると、正規の職員・従業員数が前年差68万人増(8月:52万人増)と23ヵ連続で増加する一方、非正規の職員・従業員数が前年差16万人減(8月:同16万人減)と2ヵ月連続で減少した。
季節調整値では、女性の正規の職員・従業員数が前月から7万人増の1364万人となり、正規雇用比率(役員を除く雇用者数に占める正規の職員・従業員数の割合)は前月から0.1ポイント上昇の48.8%となった。女性の正規雇用比率は13年1月の調査開始以来、最高水準を更新した。女性の雇用は正規化を伴いながら拡大している。

2.有効求人倍率は横ばい

2.有効求人倍率は横ばい

厚生労働省が10月31日に公表した一般職業紹介状況によると、25年9月の有効求人倍率は前月から横ばいの1.20倍(QUICK集計・事前予想:1.20倍、当社予想も1.20倍)となった。有効求人数が同▲0.7%の減少、有効求職者数が前月比▲0.8%の減少となった。

有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から0.01ポイント低下の2.14倍となった。新規求人数が前月比▲4.0%の減少、新規求職申込件数が同▲3.7%の減少となった。

新規求人数(原数値)は前年比▲3.2%(8月:同▲6.2%)と5ヵ月連続で減少した。産業別には、運輸・郵便業(前年比0.7%)は2ヵ月ぶりに増加したが、宿泊・飲食サービス業(同▲3.9%)が6ヵ月連続、製造業(前年比▲3.1%)、卸売・小売業(同▲7.4%)が5ヵ月連続で減少した。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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