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米住宅着工・許可件数(25年7月)-着工件数(前月比)は減少予想に反して前月から2ヵ月連続の増加

2025年08月20日

(窪谷 浩) 米国経済

1.結果の概要:住宅着工は市場予想を上回る一方、許可件数は市場予想を下回る

8月19日、米国センサス局は7月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は142.8万件(前月改定値:135.8万件)と132.1万件から上方修正された前月、前月からの減少を見込んだ市場予想の129.7万件(Bloomberg集計の中央値)を上回り、25年2月以来5ヵ月ぶりの水準となった(図表1、図表3)。

先行指標である着工許可件数(季節調整済、年率)は135.4万件(前月:139.3万件)とこちらは前月、市場予想の138.6万件を下回った(図表2、図表5)。

2.結果の評価:着工件数は戸建てに回復の兆し

住宅着工件数の伸びは前月比+5.2%(前月:+5.9%)と2ヵ月連続のプラスとなった(図表3)。戸建て住宅が+2.8%(前月:▲3.8%)と前月からプラスに転じたほか、集合住宅が+9.9%(前月:+33.6%)とプラス幅は縮小したものの、2ヵ月連続のプラスとなった(図表4)。

前年同月比は+12.9%(前月:+2.3%)と前月から大幅に伸びが加速した。集合住宅が+24.1%(前月:+28.6%)と2ヵ月連続で2桁の伸びとなったほか、戸建てが+7.8%(前月:▲6.9%)と7ヵ月ぶりにプラスに転じた。

地域別寄与度(前月比)は、北東部が▲2.9%ポイント(前月:+3.6%ポイント)、西部が▲6.5%ポイント(前月:+1.9%ポイント)と前月からマイナスに転じた。一方、中西部が+4.6%ポイント(前月:+0.5%ポイント)、南部が+9.9%ポイント(前月:横這い)と2ヵ月連続のプラスとなったほか、プラス幅が拡大して全体を押し上げた。
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比が▲2.8%(前月:▲0.1%)と4ヵ月連続のマイナスとなった(図表5)。戸建てが+0.5%(前月:▲3.7%)と5ヵ月ぶりにプラスに転じたものの、集合住宅が▲8.2%(前月:+6.5%)とマイナスに転じて許可件数全体を押し下げた(図表6)。

前年同月比は▲5.7%(前月:▲4.7%)と4ヵ月連続のマイナスとなった。集合住宅が▲1.4%(前月:+2.1%)と5ヵ月ぶりにマイナスに転じたほか、戸建てが▲7.9%(前月:▲8.4%)と14ヵ月連続のマイナスとなって許可件数全体を押し下げた。
一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、25年8月が32(前月:33)と前月からの回復を見込んだ市場予想(34)に反して、前月から▲0.1ポイント低下した(図表7)。これで同指数が好不況の境となる50を下回るのは16ヵ月連続となった。

内訳は販売現況が35(前月:36)と前月から低下した一方、販売見込みが43(前月:43))と横這いとなったほか、客足が22(前月:20)とこちらは前月から上昇するなど、マチマチの結果となった。

8月の結果について、NAHBのバディ・ヒューズ会長は「手頃な価格は引き続き住宅市場にとって最大の課題であり、買い手は住宅ローン金利が下がるのを待っている」と住宅ローン金利の高止まりが住宅需要低迷の要因の1つと指摘した。住宅許可件数の低迷と併せて住宅市場の本格回復には住宅ローン金利の大幅な低下が不可欠だろう。

経済研究部   主任研究員

窪谷 浩(くぼたに ひろし)

研究領域:経済

研究・専門分野
米国経済

経歴

【職歴】
 1991年 日本生命保険相互会社入社
 1999年 NLI International Inc.(米国)
 2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
 2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
 2014年10月より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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