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年齢制限をすり抜ける小学生たち

2025年06月13日

(廣瀬 涼) 消費者行動

■要旨

東京都が都内在住の小・中・高校生にスマートフォンなどを持たせている保護者2,000名を対象に実施した「令和6年度 家庭における青少年のスマートフォン等の利用等に関する調査」によると、小学生のおよそ2割がSNS上で"知らない人"とやりとりをしているという実態が明らかになった。なかでも、小学4~6年生では23.6%、小学1~3年生でも22.2%が該当しており、学年が上がるにつれてその割合が高まる傾向が見られる。 警察庁のまとめによれば、SNSやオンラインゲームを通じて犯罪に巻き込まれた18歳未満の子どもは、2024年の1年間で1,486人にのぼっている。内訳を見ると、中学生が715人と最多で、高校生が582人、小学生は136人となっており、小学生の被害者数は過去2番目に多い数字である。犯罪の内容としては、「不同意わいせつ」や「略取誘拐」などの"重要犯罪"が最も多く、計458人。続いて、「児童ポルノ」が414人、「青少年保護育成条例違反」が345人と深刻なケースが相次いでいる。スマートフォンの低年齢化が進むなかで、小学生の被害も年々増加傾向にあることが、こうしたデータからも明らかとなっている。 このような問題意識から、本稿では、α世代(2012年~2024年生まれ)におけるSNSの使用状況を起点に、彼らのコミュニケーションや情報取得の環境について考察する。また、多くのSNSが13歳未満の利用を制限しているにもかかわらず、なぜ小学生がSNSを利用できてしまっているのか、その背景や実態についても考察したい。

■目次

1――小学生のおよそ2割がSNS上で"知らない人"とやりとりをしている
2――α世代におけるSNSの使用状況
3――「使えないはずのSNS」を、なぜ小学生は使っているのか?
4――まとめ

生活研究部   研究員

廣瀬 涼(ひろせ りょう)

研究領域:暮らし

研究・専門分野
消費文化論、若者マーケティング、サブカルチャー

経歴

【経歴】
2019年 大学院博士課程を経て、
     ニッセイ基礎研究所入社

・公益社団法人日本マーケティング協会 第17回マーケティング大賞 選考委員
・令和6年度 東京都生活文化スポーツ局都民安全推進部若年支援課広報関連審査委員

【加入団体等】
・経済社会学会
・コンテンツ文化史学会
・余暇ツーリズム学会
・コンテンツ教育学会
・総合観光学会

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