(3) トピック
Allianzの2024年における主な資本取引等とその概要は、以下の通りであった。
2024年2月22日に、Allianz SEは、最大10億ユーロ規模の自社株買いプログラムと配当政策の修正を発表した。さらに、2024年8月7日に、Allianz SEは、2024年の自社株買いの総額を15億ユーロに拡大することを決定した、と発表した。Allianz SEは買い戻した株式を全て消却する。
2024年2月22日に、AlTi Tiedemann Globalが、Allianz X と Constellation Wealth Capital からの最大4億5,000万ドルの戦略的投資を歓迎する、と発表した。
2024年3月1日に、Allianz SpAによる2億8,000万ユーロの対価でのAssicurazioni Generali S.p.A.からのTua Assicurazioni S.p.A.の買収が完了した、と発表した。これにより、イタリアの魅力的な損害保険部門で市場シェアが約1%ポイント増加する。また、Tua Assicurazioni S.p.A.の約500の代理店による販売能力の大幅な強化が図られる、としている。なお、この取引は、2023年10月12日に契約の締結が公表されていた。
2024年4月5日に、Allianz Global Corporate & Specialty SE(AGCS)が、Fireman's Fund子会社を通じて引き受けている米国 MidCorp及びEntertainment保険事業を、事業のフランチャイズ価値を反映した4億5,000万ドルの現金支払いで、Arch Capital Group Ltd.(Arch)の一部門である Arch Insurance North America に売却する契約を締結した、と発表した。この取引にはAllianzのリスク移転が含まれており、Archは事業に関連する約20億ドルの損失準備金を引き受ける。Archからの現金支払いと、事業を支援するAllianzの推定10億ドルの資本を合わせると、Allianz Groupの取引総額は14億ドルになると予想されている。なお、売却対象となる事業は、Fireman's Fund保険会社とその子会社、すなわちAmerican Automobile Insurance Company、Chicago Insurance Company、Interstate Fire & Casualty Company及びNational Surety Corporationによって引き受けられており、2023年の総保険料収入は合計17億ドルに上る。この取引は、2024年8月2日に、売却及び譲渡が完了したことが発表された。
2024年4月18日に、アラブ首長国連邦に拠点を置き、アブダビ証券取引所に上場している多角的地域保険会社Abu Dhabi National Insurance Company(ADNIC)へのAllianz Saudi Fransiの株式51%の売却が完了したと発表した。この取引は、中東での事業を合理化するAllianz Groupの事業戦略の一環と述べている。
2024年4月18日に、大手アクティブ投資運用会社のAllianz Global Investors(Allianz GI)は、中国証券監督管理委員会(CSRC)から、中国本土で外資100%の公募ファンド運用会社(FMC)として運営するための認可を取得したと発表した。この認可は、Allianz GIの中国本土市場への取り組みと、国内投資家に同社のグローバルな投資専門知識へのアクセスを提供する姿勢を強調するもの、と述べている。
2024年7月17日に、シンガポールの大手保険会社Income Insurance Limitedの少なくとも51%を取得する計画を発表した。急成長中のシンガポール保険市場での買収により、Allianzはアジアで9位から4位の総合保険会社に躍進することになる、としていた。ただし、この取引については、シンガポール政府による反対の意見表明等を受けて、2024年12月16日に、事前条件付きのオファーを撤回するとの声明を発表している。
2024年8月1日に、6億ユーロの劣後債の償還を要求すると発表した。
2024年9月3日に、12億5000万ドルの劣後債発行を完了したと発表した。この債券の満期日は2054年9月で、2034年3月から最初のリセット日である2034年9月3日まで、及びその後5年ごとに発行者の裁量で償還可能となる。クーポンは最初の10年間は年5.60%に固定され、最初のリセット日及びその後5年ごとにリセットされる。
2024年10月29日に、スイスの総合保険会社Baloiseは、傘下の損害保険会社Friday Insuranceのドイツとフランスのポートフォリオを(Allianz Groupの欧州全域のオンライン保険会社部門である)Allianz Directに売却する、と発表した。
2024年11月5日に、Allianz Directが、ルクセンブルグに拠点を置く保険会社iptiQの欧州損害保険事業をSwiss Reから買収する、と発表した。この取引は規制当局の承認等を経て、2025年第2又は第3四半期に完了する予定である、としている。
2024年12月9日に、配当方針を改正し、より広範な資本管理方針に変更することを決定した、と発表した。その内容は、(1)定期配当金は、事業統合による無形資産の償却、RT1(制限付きTier1)債の利息費用、事業売却による損益、営業外の市場動向等の特別項目及び変動項目を調整したAllianz Group純利益(株主帰属分)の60%に維持される。(2)魅力的な配当政策のため、少なくとも前年の額の1株当たり配当金を支払うというさらなる目標が維持される。(3)さらに、2025年から2027年にかけて、上記で定義したAllianz Group純利益(株主帰属分)の平均最低15%を株主に追加還元する(例:自社株買いを通じて)、となっている。
2024年12月10日に「Capital Markets Day」を開催し、中期的な戦略と目標を説明しているが、この中で、バミューダに拠点を置く独立した戦略的再保険プラットフォームとしてSconset Reを設立することを明らかにしている。また、併せて、米国子会社のAllianz Lifeが40億ドルの固定インデックス年金をSconset Reに出再するとしている。
2024年12月31日に、Allianz Australiaは子会社のHunter Premium FundingをPE(プライベートエクイティ)会社のPemba Capital Partnersに売却する、と発表した。この取引は2025年4月に完了予定としている。
なお、2025年に入ってからも、以下の資本取引等が公表されている。
2025年2月27日に、Allianz SEは、最大20億ユーロ規模の自社株買いプログラムを発表した。このプログラムは2025年3月に開始され、遅くとも2025年12月末までに完了する。Allianz SEは買い戻した株式を全て消却する。
2025年3月17日に、インドの損害保険・生命保険合弁事業の26%の株式をBajaj Groupに総額約26億ユーロで売却する、と発表した。これによるIFRSベースの予想利益は約13億ユーロで、ソルベンシーIIへの影響は6~7%ポイントのプラス、としている。
2025年3月19日に、Allianz、BlackRock、T&D HoldingsがViridium Group
9に投資し、GeneraliとHannover Reはそのまま投資を続け、コンソーシアムに参加する、Cinvenは10年以上の投資期間を経て撤退する、と発表された。取引額は約35億ユーロで、所有権はコンソーシアムのメンバーと金融投資家に分配され、T&D Holdingsが最大のシェアを取得する
10。なお、取引は、関係規制当局の承認等を経て、2025年後半に完了する予定としている。また、このコンソーシアムは、他の長期金融投資家の参加も可能な構造になっている。
9 Viridium Groupは、ドイツのクローズドブック生命保険統合会社で、英国のPE会社Cinven、ドイツの再保険会社Hannover Re、イタリアの保険会社Generaliの合弁会社である。運用資産は670億ユーロ、340万人の保険契約者にサービスを提供している。ドイツの保険監督官庁であるBaFinは、2023年にイタリアでCinven所有のEurovitaが破綻したことを受けて、Viridium Group が問題を抱えた場合にCinvenが支援しないのではないかとの懸念から、2024年にViridium GroupによるドイツのZurich Life Legacyの買収を認めなかった。
10 T&D Holdingsは、2025年3月21日に、子会社のT&D United Capital(TDUC)のViridium Groupへの出資についてプレス発表をして、本取引完了により、TDUCはコンソーシアム投資家の中で最大となる 29.9%の持分を取得し、ViridiumがT&D Groupの持分法適用関連会社となる、ことを公表している。