(3) トピック
AXAの2024年における主な資本取引等とその概要は、以下の通りであった。
2024年1月10日に、15億ユーロの制限付Tier1債券の発行に成功したことを発表した。
2024年2月24日に、2月23日付で、投資サービスプロバイダーと、最大16億ユーロの自社株買いプログラムに関連した株式買戻し契約を締結したと発表した。なお、この契約については、2024年5月8日にAXAが買い戻す自社株の最大額を2億ユーロ増額するとの修正が発表された。この修正後の自己株取得プログラムは2024年6月13日に完了した。また、取得した全ての株式が消却された。
2024年2月26日に、2つのシリーズの劣後債((1)2006年7月6日発行の3億5,000万英ポンド変動金利固定・無期限超劣後債(Undated Deeply Subordinated Notes)、(2)2014年11月7日発行の7億2,392.5万英ポンド無期限超劣後債)に対する現金公開買い付けを発表した。
2024年5月3日に、2022年7月14日に公表されたAthoraとのAXA Germanyにおける閉鎖された生命保険及び年金ポートフォリオの売却契約を解除することに相互に合意した、と発表した。これにより、AXAは、十分な資本とデュレーションがマッチしたこのポートフォリオとそれに関連する収益を保持する、としている。また、AXA Life EuropeはNew Reinsurance Companyと約30億ユーロの変額年金準備金をカバーする再保険契約を締結した、と発表した。この取引により、2024年以降、基礎収益が年間約2,000万ユーロ減少することになるが、この収益の希薄化を、年末までに完了予定の2億ユーロの自社株買いで相殺する予定としている。また、自社株買いの影響を含むこの取引は、AXA GroupのソルベンシーII比率に約▲1%ポイントの影響を与えると想定されている。
2024年5月14日に、万国郵便連合(UPU)と郵便ネットワークを通じて包摂保険(inclusive insurance)
5を推進するために協力すると発表した。世界中で15億人以上(世界の成人人口の約28%)が郵便ネットワークを通じて金融サービスにアクセスしており、世界の郵便局の53%は保険を提供している。UPUとAXAは、郵便ネットワークを通じて包摂保険を世界規模で拡大するための提携を締結し、共同研究から始まり、その後技術支援プログラムが続いていく、と述べている。
2024年5月30日に、2034年満期の7億5,000万ユーロのシニア債の発行を発表した。
2024年8月1日に、Gruppo Nobis(「Nobis」)の買収により、イタリアでの個人向け損害保険事業を拡大すると発表した。Nobis はイタリアの個人向け損害保険会社で、多角的な販売網の恩恵を受けており、複数の代理店や自動車ディーラーとの提携も行っている。Nobisは2023年に5億ユーロの総収入保険料と 3,500万ユーロの純利益を報告している。買収の初期対価は4億2,300万ユーロとなり、アーンアウト(Earn out)
6は最大5,500万ユーロとなる見込みとしている。取引完了後、この取引はAXA GroupのソルベンシーII比率に▲1%ポイントの影響をもたらすと想定されている。
2024年8月2日に、AXA Investment Managers(AXA IM)をBNP Paribasに売却する独占交渉を開始すると発表した。これは、資産運用事業から撤退し、BNP Paribasとの長期投資運用パートナーシップを締結するという戦略的決定であり、事業モデルを簡素化し、中核の保険業務である、生命保険・貯蓄保険、損害保険、健康保険に重点を置くというグループ戦略をさらに強調するものであるとしている。取引総額は54億ユーロとなると予想されており、これは2023年の基礎利益の15倍に相当している。この取引は2025年第2四半期までに完了予定である。この取引の完了に伴い、年間基礎利益が約4億ユーロ減少し、一時的な純利益が22億ユーロ増加すると予想されている。また、売却による利益の希薄化のため、取引完了後に38億ユーロの自社株買いを開始する予定であると述べている。この取引とそれに伴う自社株買いのソルベンシーII比率に与える影響は中立的であるとしている。また、2024年12月22日に、AXA Investment Managersの売却に関してBNP Paribas との株式購入契約を締結したと発表した。この取引は2025年第2四半期末頃に完了予定である。
2024年9月11日に、増資による、従業員への株式割り当て(Shareplan 2024)を開始すると発表した。また、2024年10月3日に、このShareplan 2024に関連して、希薄化効果を排除するために、投資サービスプロバイダーと自社株買い契約を締結し、これにより、最大4億5,220万ユーロで自社株を買い戻し、消却する、と発表した。
なお、2025年に入ってからも、以下の資本取引等が発表されている。
2025年2月27日に、12億ユーロを上限とする自社株買いプログラムを発表した。この自社株買いプログラムによって取得した全ての株式を消却する予定である。
5 一般の保険市場の対象外、又は保険提供を十分に受けていない層を対象とする保険で、保険者から提供される保険や貯蓄性の商品に正規のプロバイダーを通じて有効なアクセスが得られるようにさせる保険商品
6 M&Aの対価の一部を、実行後の一定期間内に、M&A対象会社の業績指標等の事前に合意された目標の達成状況に応じて支払う規定