住民税非課税世帯とは~本当に必要な人に届くためには~

2025年02月21日

(佐藤 雅之) 日本経済

■要旨

2024年11月22日に閣議決定された「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」によると、物価高の影響を受ける低所得者世帯への支援として、住民税非課税世帯一世帯当たり3万円(住民税非課税世帯のうち、子育て世帯については子ども一人当たり2万円の加算)が支給されることとなった。


これまでも給付金支援の対象として住民税非課税世帯は多用されてきた。住民税非課税世帯の割合は全世帯の24%を占めており、その内訳をみると世帯主が65歳以上の世帯は75%を占める。つまり、住民税非課税世帯として、給付金支給の対象となった世帯の4分の3は高齢者ということである。高齢者ほど住民税非課税世帯になりやすい理由は、高齢者の主たる収入である年金には公的年金等控除と呼ばれる控除が適用されるからである。
 
モデルケースによる試算結果を踏まえると、もし本当に物価高に苦しんでいる低所得者に支援を届けたいのであれば、貯蓄を十分に蓄えているかもしれない高齢世帯ではなく、住民税を支払っているが所得水準の低い世帯こそ支援が必要なのではないだろうか。こうした世帯に給付金が届くように、給付付き税額控除を導入することは一つの解決策となり得るだろう。

■目次

1――低所得者世帯への支援
2――住民税非課税世帯とは
3――全世帯に占める住民税非課税世帯の割合は24%
4――低所得者世帯向けの給付金支援の課題

経済研究部   研究員

佐藤 雅之(さとう まさゆき)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済

経歴

【職歴】
 2020年4月 株式会社横浜銀行
 2024年9月 ニッセイ基礎研究所

【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員

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