不平等・社会関連財務情報開示タスクフォース(TISFD:Taskforce on Inequality and Social-related Financial Disclosures)が2024年9月に設立されました。「人々(people)」を巡る不平等など社会課題に起因するリスクと機会に企業や金融機関がどう直面しているか、そして、同課題に対して企業や金融機関が適切に対処しているかどうかについて、情報を開示するための枠組み。それを構築する国際イニシアティブがTISFDです。
TISFDは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)に続く第三の開示タスクフォースとして注目されています。TISFDが公表した活動方針「People in Scope」によると、開示対象となる「人々」の範囲が、自社の従業員だけではなく、バリューチェーン上の取引先企業の従業員、そして(企業や工場が立地する、あるいは原材料調達先である)地域コミュニティ、消費者と非常に幅広いことが特徴の一つです。また、これら人々の不平等の側面についても、所得・資産だけではなく、健康状態、労働環境(安全性)、知識・スキルと対象範囲がとても広いものとなっています。
「人々(people)」は、全世界ありとあらゆる企業のステークホルダーであり、企業の事業基盤そのものです。今後、企業や金融機関がステークホルダーからTISFDによる開示を求められるようになった場合、おそらく、それは「社会的な営業許可証(social license to operate)」として位置付けられるようになると考えられます。