欧州の自然災害リスクへの取り組み-気候変動による自然災害への対策は段階的アプローチで

2025年02月10日

(篠原 拓也) 保険計理

■要旨

気候変動問題が世界中で議論されている。地球温暖化は、豪雨、大規模な干ばつなど、さまざまな形で地球環境に影響を及ぼしつつある。

ヨーロッパでも、近年、度重なる極端な気象により大きな損害が発生している。こうした極端な気象への対処として、欧州中央銀行(ECB)と欧州保険・年金機構(EIOPA)は、保険や基金等通じた対策を議論している。本稿では、その内容を見ながら、気候変動問題の対策のあり方について考えてみることとしたい。

■目次

1――はじめに
2――ヨーロッパで頻発している自然災害
  1|10月にはスペイン東部で豪雨、210人以上が死亡
  2|9月には中・東欧諸国 (ルーマニア、ポーランド、チェコ、オーストリアなど) で豪雨、
   22人が死亡
  3|6月にはギリシャで熱波、4人が死亡
  4|8月にはギリシャで山林火災、1人が死亡
  5|2月にはスペインで干ばつ、非常事態宣言が発令された
3――保険や基金等を通じた極端な気象への対応
  1|保険の保護ギャップは間接的な損失ももたらす
  2|保護ギャップ縮小のために段階的アプローチを提案
  3|アプローチには肯定的な回答が多く寄せられた
  4|既存の基金は保障が限定的で利用が限られている
  5|2024年には官民再保険スキームと公的災害融資基金の2本の柱が示された
  6|2本の柱の提示は議論の活性化が目的
4――おわりに (私見)
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