2――大会テーマ:Progressing Global Action on Responsible Investment
本大会では「Progressing global action on responsible investment(責任投資のグローバルな取組みの進展)」という大会メッセージが掲げられ、責任投資行動の進化とグローバルな連携を重視する姿勢が強調された。サステナビリティ課題が気候変動から自然・生物多様性や社会的不平等など様々な分野に広がり、各課題が複雑に相互関連する状況下で、投資家が各々の戦略を持ち、これまで掲げた目標を具体的な実務に落とし込むアプローチを共有する機会が提供された。
4-1. 先住民族(First Nations)
先住民族コミュニティの問題は、開催国カナダにおいて、責任投資の文脈でシステムレベル・リスクと深くかかわる重要なテーマである。トロント大会の開会式において、ファースト・ネーションズ総会のナショナル・チーフであるシンディ・ウッドハウス・ネピナク氏(Cindy Woodhouse-Nepinak, National Chief, Assembly of First Nations)や、ミシサガ族の代表であるオギマクウェ・クレア・ソー氏(Ogimaa-kwe Claire Sault, Chief, Mississaugas of the Credit First Nation)が登壇したことに象徴されるように、カナダにおいて先住民族は、国家の歴史や社会、文化において重要な位置を占めている。主な発言や議論内容は以下の通り。