以下、命題の成立を説明していく。なお、細部の条件等での厳密さは追求せず、あくまで概要の"説明"にとどめる。その意味で、数学的な"証明"とは異なるものであることをご了承いただきたい。
(一般化したモンティ・ホール問題)
設定:ドアN個(うちアタリW個)、追加情報:司会者はドアn個(うちアタリw個)を開ける
事前確率 W/N → 事後確率 P
[命題]
(W/N + (N-n-1)×P) / (N-n) = (W-w) / (N-n)
つまり、P = (N-1-N×w/W)/ (N-1-n) × W/N
(説明)
解答者は、最初にドア(1)を選択するものとする。
AiやBjなどの事象の記号の意味は、本文のものと同様とする。また、括弧書きは、場合の数を表すものとする。
P(A1) = … = P(AN) = W/N
P(Ai∩…∩Aj)=1/
(Ai∩…∩Ajは、W個のA*の「かつ」事象)
P(Bs∩…∩Bt | Ai∩…∩Aj) (Bs∩…∩Btは、n個のB*の「かつ」事象)について考えてみる。
Ai∩…∩AjのA*の中にA1が含まれている場合、A1∩Ap∩…∩Aqとなり、Ap∩…∩Aqの(W-1)個のA*の添え字と、Bs∩…∩Btのn個のB*の添え字が、ちょうどw個一致しているときに、
P(Bs∩…∩Bt | Ai∩…∩Aj)=1/{
}となり、それ以外のときは0となる。
Ai∩…∩AjのA*の中にA1が含まれていない場合、Ai∩…∩AjのW個のA*の添え字と、Bs∩…∩Btのn個のB*の添え字が、ちょうどw個一致しているときに、
P(Bs∩…∩Bt | Ai∩…∩Aj)=1/{
}となり、それ以外のときは0となる。
ベイズの定理を使って、P(A1| Bs∩…∩Bt)と、P(Ak| Bs∩…∩Bt) (kは1やB*の添え字以外)を計算して、その比を取りたい。
まず、P(A1| Bs∩…∩Bt)について。
P(A1| Bs∩…∩Bt)=∑P(A1∩Ap∩…∩Aq| Bs∩…∩Bt) (Ap∩…∩AqのA*の数は(W-1)個)のように、
個の項の足し算の形に分解できる。さらにベイズの定理を用いて、次のように変形できる。
(ただし、Ap∩…∩Aq 、Au∩…∩Av 、Ai∩…∩AjのA*はA1以外。また、Ap∩…∩Aq とAu∩…∩Avは(W-1)個のA*の「かつ」事象。Ai∩…∩AjはW個のA*の「かつ」事象。)
このうち、P(Bs∩…∩Bt| A1∩Au∩…∩Av)の部分については、Au∩…∩Avの(W-1)個のA*の添え字と、Bs∩…∩Btのn個のB*の添え字がちょうどw個一致している項だけが残り、それ以外は0となって消える。
残る項は、すべて同じ値となるため、1つの項の値に項数を掛け算することで計算できる。0にならない項の数は、次のように表せる。
Bs∩…∩Btのn個のB*の添え字のうち、w個がアタリ(つまり、Au∩…∩AvのA*の添え字と一致)となる必要があり、そのような選び方の場合の数は
通りある。そして、その各場合に、Au∩…∩Avの(W-1)個のA*の添え字のうちBs∩…∩BtのB*の添え字以外のものが、((W-1)-w)個ある。それらは、1以外の添え字全体から、Bs∩…∩Btのn個のB*の添え字を除いた、((N-1)-n)個の中から選ぶことになるので、選び方の場合の数は
通りとなる。この2つの場合の数を掛け算することで、0にならない項数は、
と計算できる。
同様に、P(Bs∩…∩Bt| Ai∩…∩Aj)の部分については、0にならない項数は、
となる。
これらを用いることで、P(A1| Bs∩…∩Bt)は、次の通りとなる。
この式は、次のように計算してW/Nに等しいことが確かめられる。
次に、P(Ak| Bs∩…∩Bt) (kは1やB*の添え字以外) について。
P(Ak| Bs∩…∩Bt)=∑P(Ak∩Ap∩…∩Aq| Bs∩…∩Bt) (Ap∩…∩AqのA*の数は(W-1)個)のように、
個の項の足し算の形に分解できる。さらにベイズの定理を用いて、次のように変形できる。
(ただし、Ax∩…∩Ay 、Ag∩…∩Ah のA*はAk、A1以外。Au∩…∩Av 、Ai∩…∩AjのA*はA1以外。また、Ax∩…∩Ayは(W-2)個のA*の「かつ」事象。Ag∩…∩Ah とAu∩…∩Av は(W-1)個のA*の「かつ」事象。Ai∩…∩AjはW個のA*の「かつ」事象。)
このうち、P(Bs∩…∩Bt| Ak∩A1∩Ax∩…∩Ay)の部分については、Ax∩…∩Ayの(W-2)個のA*の添え字と、Bs∩…∩Btのn個のB*の添え字がちょうどw個一致している項だけが残り、それ以外は0となって消える。(その他も同様。)
そこで、次のように計算できる。
そこで、P(A1| Bs∩…∩Bt)と、P(Ak| Bs∩…∩Bt) (kは1やB*の添え字以外)の比をとる。
この2つの式の分母は同じであるから、分子どうしの比をとればよい。
このようにして、命題のPの式の中の、事前確率W/Nに掛け算される分数部分であることが示される。