2024・2025年度経済見通し-24年4-6月期GDP2次速報後改定

2024年09月09日

(斎藤 太郎) 日本経済

■要旨
 
<実質成長率:2024年度0.7%、2025年度1.1%を予想>
 
  1. 2024年4-6月期の実質GDP(2次速報値)は、民間消費、設備投資の下方修正などから1次速報の前期比0.8%(年率3.1%)から前期比0.7%(年率2.9%)に下方修正された。
     
  2. GDP2次速報の結果を受けて、8月に発表した経済見通しを改定した。実質GDP成長率は2024年度が0.7%、2025年度が1.1%と予想する。2024年4-6月期の実績値、7-9月期見通しの下方修正を反映し、2024年度の見通しを▲0.1%下方修正した。
     
  3. 2024年7-9月期は所得税・住民税減税の効果が顕在化する一方、地震臨時情報や台風接近・上陸に伴う移動の制約、旅行のキャンセル、各種イベントの中止などが消費を押し下げることが懸念される。2024年度後半以降は、民間消費、設備投資を中心に潜在成長率を若干上回る年率1%前後の成長が続くだろう。
     
  4. 消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)は、2024年度が2.3%、2025年度が1.8%と予想する。賃上げに伴うサービス価格の上昇を円高による財価格の上昇率鈍化が打ち消す形で、消費者物価上昇率は鈍化傾向が続き、2025年度には日銀の物価目標である2%を割り込むだろう。

 
■目次

1.2024年4-6月期の実質GDPは前期比年率2.9%へ小幅下方修正
  ・経常利益が2四半期連続で過去最高を更新
  ・実質賃金上昇率が2ヵ月連続のプラス
2.実質成長率は2024年度0.7%、2025年度1.1%を予想
  ・地震臨時情報、台風の影響で夏場の消費が下振れ
  ・物価の見通し

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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