ブラジルGDP(2024年4-6月期)-前期比成長率がさらに加速

2024年09月04日

(高山 武士) 欧州経済

1.結果の概要:前期比1.4%と高い成長を記録

9月3日、ブラジル地理統計院(IBGE)は国内総生産(GDP)を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【実質GDP成長率(2024年4-6月期)】
前年同期比伸び率(未季節調整値)は3.3%、市場予想1(2.7%)を上回り、前期(2.5%)から上昇した(図表1・2)。
前期比伸び率(季節調整値)は1.4%、予想(0.9%)を上回り、前期(1.0%)から加速した。

 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:内需の底堅さに加えて輸出も加速

24年4-6月期の実質GDP伸び率は前期比1.4%(季節調整値、年率換算5.9%)となり、前期(前期比1.0%、年率換算4.2%)から加速した。コロナ禍前(19年10-12月期)比では9.9%だった(図表4・5)。伸びのトレンドが見やすい前年比でも3.3%と、前期(2.5%)から加速している。

成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費が1.3%(前期:2.5%)、政府消費が1.3%(前期:0.1%)、投資が2.1%(前期:3.8%)、輸出が1.4%(前期:0.4%)、輸入が7.6%(前期:4.5%)で、前期から輸出が加速したほか、内需(消費や投資)も底堅さを維持した。

コロナ禍前との対比では、個人消費が9.4%、政府消費が7.2%、投資が17.3%、輸出が21.6%、輸入が21.0%だった(図表4)。
産業分類別に実質GDPの伸び率を見ると(図表3・5)、第一次産業は前期比▲2.3%(前期:11.1%)、第二次産業は同1.8%(前期:▲0.1%)、第三次産業は同1.0%(前期:1.4%)だった。第一次産業は天候不順の影響で大豆やトウモロコシの生産減が影響し前期比マイナスに転じたものの、水準は依然として高い。

より細かい業種では、第二次産業のうち電気・ガスが前期比4.2%と前期(▲2.6%)に落ち込んだ反動でプラス幅が拡大したほか、建設業(3.5%)も高成長となった。第三次産業は細かい業種も安定して成長しており、4-6月期は金融(2.0%)、情報・通信(1.7%)といった分野の伸び率が高かった。一方、第二次産業のうち、鉱業(▲4.4%)はマイナスが目立った(図表3)。
4-6月期の名目成長率は前年同期比6.9%(前期:5.1%)に再上昇した。その結果、名目と実質成長率の差(デフレータに相当)は3.6%(前期:2.6%)に上昇している。なお、消費者物価指数(IPCA)は、7月で前年比4.35%と中銀目標(3±1.5%)は達成しているものの、GDPデフレータよりやや高く、目標上限に近い水準で推移している。

輸出デフレータと輸入デフレータはいずれも前年比で上昇し、交易条件に関しては交易利得が前期に比べてやや縮小した。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

経済研究部   主任研究員

高山 武士(たかやま たけし)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴

【職歴】
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職

 ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
  アドバイザー(2024年4月~)

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)