意外な生命保険先進国 南アフリカ-ジンバブエとは違う道を進み続けられるか-

2024年07月16日

(磯部 広貴) 保険商品

■要旨

南アフリカは多々の課題を持ちつつも、黒人も白人もなく多人種が共生する「虹色の国」を標榜して経済発展を遂げてきた。
 
生命保険普及率(生命保険料収入/GDP)は9.1%と、世界平均はおろかわが国をも大きく上回る。富裕層中心で既に成熟しており、さらなる成長に向けてはマイクロ保険による低所得層の取り込みが必要とみられている。
 
一方、南アフリカにおける貧富の差は非常に激しく、人口比率では1割に満たない白人が富裕層の太宗を占めて生命保険市場を支えているのが実情である。
 
本年5月の議会選挙では与党のアフリカ民族会議(ANC)が初めて過半数を割り込んだ。白人からの支持の高い民主同盟(DA)との連立で引き続き政権を担うものの、黒人ポピュリズムの脅威が迫る中、南アフリカが意外な生命保険先進国であり続けられるか、注目していきたい。

■目次

1――南アフリカ共和国とは
2――高い生命保険普及率
3――富裕層=白人中心の現状
4――今後どう進むか

保険研究部   主任研究員・気候変動リサーチセンター兼任

磯部 広貴(いそべ ひろたか)

研究領域:保険

研究・専門分野
内外生命保険会社経営・制度(販売チャネルなど)

経歴

【職歴】
1990年 日本生命保険相互会社に入社。
通算して10年間、米国3都市(ニューヨーク、アトランタ、ロサンゼルス)に駐在し、現地の民間医療保険に従事。
日本生命では法人営業が長く、官公庁、IT企業、リース会社、電力会社、総合型年金基金など幅広く担当。
2015年から2年間、公益財団法人国際金融情報センターにて欧州部長兼アフリカ部長。
資産運用会社における機関投資家向け商品提案、生命保険の銀行窓版推進の経験も持つ。

【加入団体等】
日本FP協会(CFP)
生命保険経営学会
一般社団法人 アフリカ協会
一般社団法人 ジャパン・リスク・フォーラム
2006年 保険毎日新聞社より「アメリカの民間医療保険」を出版

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