ユーロ圏失業率(2024年2月)-失業率は低水準で横ばい推移が継続

2024年04月04日

(高山 武士) 欧州経済

1.結果の概要:失業率は過去最低水準で横ばい

4月3日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏失業率(20か国、2024年2月、季節調整値)】
失業率は6.5%、市場予想1(6.4%)より上振れ、前月(6.5%)から横ばいとなった(図表1)
失業者は1110.2万人となり、前月(1108.5万人)から1.7万人増加した

 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:若年失業率も横ばい推移

ユーロ圏(20か国)の2月の失業率は6.5%となり、1月(6.5%)から横ばいだった。なお、1月のデータがやや悪化方向に修正された(改定前6.4%→改定後6.5%)ことを受けて、6.5%は統計データ公表以来の最低値となっている(また、それより以前のデータにはほぼ改定がなかった)。

失業者数は2月の前月差で1.7万人減となり、23年10月以来となる増加だった(図表3・4)。主要4か国では、ドイツ(0.5万人)とイタリア(4.6万人)が増加、フランス(▲2.2万人)、スペイン(▲2.5万人)が減少している。

2月の若年失業率は14.6%となった。なお、若年失業率も過去データはやや悪化方向に改定された(23年12月14.5%→14.6%、24年1月14.5→14.6%)。若年失業率は23年4月(13.9%)をボトムにやや上昇したが、10月に直近ピークとなる15.0%を記録した後は14%台半ばで4か月連続での横ばい推移となった(前掲図表2)。若年失業者数は2月で231.9万人(前月差▲0.4万人)となり前月比で減少した。前月比の減少は2か月連続となる。若年失業者数の水準はコロナショック直前(20年3月の234.6万人)をやや下回る状態で推移している(図表4)。
国別の1月のデータを見ると、失業率は20か国中、悪化した国が6か国、改善が7か国、横ばいが7か国とまちまちだが、総じて低失業率を維持している(図表5)。若年失業率はデータが公表されている16か国中、悪化した国が4か国、改善が9か国、横ばいが3か国だった(図表6)。
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者が増加したものの、就業者も増加し、非労働力人口が減少した(図表7)。ポルトガルは失業者と非労働力人口が増加し、就業者が減少した(図表8)。労働参加率はいずれの国もコロナ禍後のピークからはやや低い水準にあるが、過去と比較して高水準を維持している。
 
 

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経済研究部   主任研究員

高山 武士(たかやま たけし)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴

【職歴】
 2002年 東京工業大学入学(理学部)
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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