「横浜オフィス市場」の現況と見通し(2024年)

2024年03月27日

(吉田 資) 不動産市場・不動産市況

■要旨
 
  • 横浜のオフィス市場は、コロナ禍以降、空室率は上昇基調で推移しており、成約賃料は弱含んでいる。今後も、みなとみらい21地区や関内地区を中心に複数の大規模開発計画が進行中であり、市場への影響が注目される。本稿では、横浜のオフィス市況を概観した上で、2028年までの賃料予測を行った。
     
  • 神奈川県の就業者数は増加しているものの、今後、生産年齢人口は減少に向かう見通しである。また、オフィスワーカーの割合の高い非製造業では人手不足感が強い一方、企業活動はコロナ禍からの回復は鈍く、物価高騰のダメージも受けている。これらのことを勘案すると、横浜ビジネスエリアの「オフィスワーカー数」の増加はやや力強さに欠ける懸念がある。
     
  • また、横浜市でも「在宅勤務」を取り入れた新たな働き方が一定程度定着している。フレキシブルな働き方に即したオフィスの拠点配置や利用形態を検討する企業の増加が予想される。
     
  • 一方、新規供給は「みなとみらい21地区」や「関内地区」を中心に複数の大規模開発計画が進行中である。2024年と2026年に約3万坪の新規供給を控えるなか、今後、横浜の空室率は上昇することが予想される。
     
  • このため、横浜のオフィス成約賃料は、需給バランスの緩和に伴い下落基調で推移する見通しである。2023年の賃料を100とした場合、2024年は「96」、2028年は「86」に下落すると予想する。ただし、2023年対比で▲14%下落するものの、2018年と同程度の賃料水準に留まり、大幅な賃料下落には至らない見込みである。


■目次

1.はじめに
2.横浜オフィス市場の現況
  2-1.空室率および賃料の動向
  2-2.需給動向
  2-3.エリア別動向
3.横浜オフィス市場の見通し
  3-1.新規需要の見通し
  3-2.新規供給見通し
  3-3.賃料見通し

金融研究部   主任研究員

吉田 資(よしだ たすく)

研究領域:不動産

研究・専門分野
不動産市場、投資分析

経歴

【職歴】
 2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
 2018年 ニッセイ基礎研究所

【加入団体等】
 一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)

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