国籍・地域別に見ると、2019年10-12月で圧倒的に多いのは中国(32.1%)で、次いで台湾(10.1%)、香港(7.9%)、米国(7.2%)までが5%以上で続く(図表4)。なお、東アジアが過半数を占める。一方、2023年10-12月で最多は台湾と中国(いずれも13.9%、ただし金額は台湾が若干多い)で、次いで韓国(12.9%)、米国(11.3%)、香港(8.7%)までが5%以上で続き、東アジアが約半数を占める。
また、消費額の上位国を中心に、2019年10-12月と2023年同期の増加率を比べると、訪日外客数と同様に韓国(288.6%)で大幅に上昇しているほか、米国(113.8)やシンガポール(96.6%)、台湾(90.3%)、オーストラリア(54.3%)、香港(51.5%)での上昇も目立つ。一方、中国(▲40.4%)は大幅に低下している。なお、これらの増減の考察は前節で述べた通りである。また、同様に韓国の訪日消費額の増加分(2019年10-12月552億円→2023年同期2,145億円で+1,593億円)は中国の減少分(同3,893億円→同2,322億円で▲1,571億円)を上回っており、訪日中国人旅行消費額の大幅減少は訪日韓国人旅行消費額の大幅増加で相殺されていることになる。
なお、各国籍・地域の全体に占める訪日外客数と消費額の割合の関係を見ると、訪日外客数が多い国籍・地域ほど消費額が多い傾向はあるものの、滞在日数や購買意欲の違いなどの影響も大きいようだ。例えば、韓国は、2023年10-12月の訪日外客数は最多だが、平均泊数(全目的で6.6日、観光・レジャー目的で3.1日)は全体(同8.7日、同6.4日)と比べて、特に観光目的では半分以下と短いため、消費額は3位にとどまる。一方、訪日外客数が5位の米国は平均泊数(同12.7日、同9.8日)が長いため(全国籍・地域の1.5倍以上)、消費額(1,879億円)は韓国(2,145億円)に次ぐ。
また、中国からの訪日は回復途上だが、コロナ禍前に中国人の「爆買い」が見られたように、他国の訪日客と比べて消費意欲が旺盛であるために、足元でも訪日外客数に対して消費額が多い様子がうかがえる(訪日客数は3位だが消費額は首位の台湾と並ぶ)。
国籍・地域別に1人当たりの旅行支出額を見ると、2019年10-12月で最多は英国(32万7,227円)で、次いで豪州(28万3,785円)、フランス(25万7,665円)、スペイン(25万2,626円)、ドイツ(22万7,538円)、ロシア(22万4,066円)、イタリア(20万8,964円)、中国(20万6,285円)、カナダ(20万940円)までが20万円を超えて続く(図表略)。一方、2023年10-12月で最多はスペイン(39万2,819円)で、次いで英国(38万6,526円)、イタリア(36万8,783円)、オーストラリア(35万3,678円)、ドイツ(35万3,437円)、フランス(34万2,408円)、米国(32万4,139円)、カナダ(32万518円)までが30万円を超えて続き、2019年と比べて、各国籍・地域ともおおむね増えている。