中高年女性会社員の4割は「学び直し」に関心あり~「中高年女性会社員の管理職志向とキャリア意識等に関する調査~『一般職』に焦点をあてて~」より(3)

2024年01月29日

(坊 美生子) 高齢化問題(全般)

■要旨

「学び直し」への注目が集まっていることから、一般社団法人定年後研究所とニッセイ基礎研究所が昨年10月、共同研究として行ったインターネット調査「中高年女性の管理職志向とキャリア意識等に関する調査~『一般職』に焦点をあてて~」では、中高年女性の学び直しの意識に関しても尋ねた。

当調査で、大企業で働く中高年女性約1,300人に対し、学び直しの経験や関心を尋ねると、経験があるは12.8%、関心がある層は約4割、関心はないが3割弱だった。つまり、中高年女性で学び直しに「経験がある」と「関心がある」を合わせれば過半数に上り、学び直しへの意識が高いことが分かった。背景には、これまでの異動経験が少ないなど、職務範囲が狭いことが関連していると考えられる。

中高年女性の学び直しへの経験・関心をどうしたら生かすことができるだろうか。第一に必要なことは、学び直しを実践するための時間の確保である。同調査では、学び直しに関心がある層のうち約4割が、「関心はあるが時間が無い」と回答している。家事育児で忙しいことが、実践のネックになっていると見られる。したがって、学び直しの内容によっては、企業がOFF-JTに組み込んで勤務時間に学ばせたり、業務外の自己啓発とする場合には、就業時間に配慮したりする工夫が必要ではないだろうか。第二に必要なことは、学び直しで習得した知識やスキルを本業にフィードバックできるように、事後に女性の配置に考慮したり、希望するポジションへの公募を可能にしたりするなど、職務に結びつけることだろう。

■目次

1――はじめに
2――「学び直し」に対する中高年女性会社員の経験と関心~ 「中高年女性会社員の管理職志向と
 キャリア意識等に関する調査~『一般職』に焦点をあてて~」の分析結果より
3――中高年女性の学び直しへの経験・関心をどう活かすか
  1│学び直しのための時間の確保~家事育児で忙しい中高年女性に向けて
  2│業務にフィードバックさせる人事マネージメント
4――終わりに

生活研究部   准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任

坊 美生子(ぼう みおこ)

研究領域:ジェロントロジー(高齢社会総合研究)

研究・専門分野
中高年女性の雇用と暮らし、高齢者の移動サービス、ジェロントロジー

経歴

【職歴】
 2002年 読売新聞大阪本社入社
 2017年 ニッセイ基礎研究所入社

【委員活動】
 2023年度~ 「次世代自動車産業研究会」幹事
 2023年度  日本民間放送連盟賞近畿地区審査会審査員

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