エレベーターの数がn台の場合、次に来るエレベーターが下向きである確率は、
1/2 + 1/2 × (1-2p)
n と表すことができることの証明
nについて数学的帰納法を用いて証明する。
まず、n=1の場合、確率は (1-p) となる。
これは、1/2 + 1/2 × (1-2p) と表すことができるので成り立っている。
次に、n=kのときに成立するとして、n=k+1のときの確率を計算する。
(k+1)台のエレベーターを考えて、1)、2)、3)、…、k)、s) の番号をつけておく。そして、1)~k)のk台のなかで、a階に最初に来るエレベーターをt)と呼ぶことにする。
そう考えると、s)とt)の2台について、先にa階に来るエレベーターを考えればよいことになる。
a階に次に来るエレベーターはsかもしれないし、tかもしれない。次に来るエレベーターが下向きであるケースを、3つに場合分けしてみる。
(1) s)もt)も下向きにa階に来るケース
(2) s)は下向き、t)は上向きにa階に来るケース
(3) s)は上向き、t)は下向きにa階に来るケース
s)もt)も上向きにa階に来るケースは、次に来るエレベーターが上向きとなるので、考えなくてよい。
まず、(1)。s)の確率は(1-p)、t)の確率は数学的帰納法の仮定から、1/2 + 1/2 × (1-2p)
k だ。
この2つを掛け算して、(1)の確率は、 (1-p)×{1/2 + 1/2 × (1-2p)
k } となる。
次に(2)。s)がt)よりも先にa階に来るためには、s)はβ区間にいる必要がある。s)がβ区間にいる確率はpだ。一方、t)は上向きにa階に来るので、t)が上向きにa階に来る確率は、数学的帰納法の仮定を用いて、
1 - {1/2 + 1/2 × (1-2p)
k } = 1/2 - 1/2 × (1-2p)
k となる。
s)がt)との競争に勝って先にa階に来る確率をqとしよう。(こうすると、t)がs)との競争に勝って先にa階に来る確率は (1-q) となる。これは(3)で用いる。)
これらを掛け算して、(2)の確率は、 q × p ×{1/2 - 1/2 × (1-2p)
k } となる。
続いて(3)。t)がs)よりも先にa階に来るためには、s)はβ区間にいてa階に下がっていく必要がある。この確率は、α区間にいて、そこからa階に上がっていくことと同じ確率となる。つまり、t)の確率は、(2)のケースと同じで、
1/2 - 1/2 × (1-2p)
k
一方、s)の確率は、pだ。
t)がs)との競争に勝って先にa階に来る確率は、(2)でt)がs)との競争に勝って先にa階に来る確率と同じになる。これは、(2)と(3)を見比べるとs)とt)の向きが入れ替わっただけだからだ。(2)で、s)がt)との競争に勝って先にa階に来る確率をqとしていたから、t)がs)との競争に勝って先にa階に来る確率は(1-q)となる。
これらを掛け算して、(3)の確率は、 (1-q) × p ×{1/2 - 1/2 × (1-2p)
k } となる。
(1)、(2)、(3)の確率を合計すると、(計算がやや面倒だが、)
(1-p)×{1/2+1/2×(1-2p)
k }+q×p×{1/2-1/2×(1-2p)
k }+(1-q)×p×{1/2-1/2×(1-2p)
k }
=(1-p)×{1/2+1/2×(1-2p)
k }+p×{1/2-1/2×(1-2p)
k }
=(1-p)×1/2 + (1-p)×1/2×(1-2p)
k + p×1/2 - p×1/2×(1-2p)
k
=1/2 + (1-2p)×1/2×(1-2p)
k
=1/2 + 1/2 × (1-2p)
k+1
つまり、n=k+1のときも成り立っていることになる。
(証明 終わり)