保険研究部 取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長
松澤 登(まつざわ のぼる)
研究領域:保険
研究・専門分野
保険業法・保険法|企業法務
2――公開買付け
この場合は相対取引であっても、会社の根本を変更するための必要となる特別決議(議決権の3分の2の賛成が必要)を阻止できる3分の1超を確保できることとなるため、株主への影響が大きく、公開買付けの対象とされる。すでに3分の1を超える株券等所有割合を有している買付け者が市場外で相対取引によって買付けを行う場合も公開買付けによらなければならないとされている。
ただし、既に50%を超える株券等所有割合を所有している買付け者が著しく少数の者から買付を行う場合は、買付け後の株券等所有割合が3分の2を超えるものではない限り、公開買付け義務を負わない。これは50%超を所有している買付け者は既に株主総会の普通決議(議決権の半数超で可決)を単独で可決することができるため、株主総会の特別決議成立要件である3分の2を超えることがない限り、大きな影響を受けるとは言いにくいためと考えられる。
なお、このような場合においても不特定多数の者からの市場外の買付け等は(1)で述べた5%ルールがあるため、現在の株券所有割合数あるいは買付けする株券所有割合にかかわらず、市場外での買付けは公開買付けによるものとされる。
(3)3分の2を超える株券所有割合になる買付け等
株券等の買付け等を行い、株券等所有割合が3分の2を超える場合は、買付け等に応じた株主の株券等をすべて購入する「全部買付け義務」を負う(金商法27条の13第4項柱書、金商令14条の2の2。なお、買付け等に応じない株主の株券等を購入する義務を負うものではない)6 。この場合は著しく少数の者からの買付けであっても公開買付けによらなければならない(金商令6条の2第1項4号かっこ書き、図表4)。不特定多数の者からの買付けも上記で述べた5%ルールがあり、公開買付けによる必要がある。
6 このルールに該当しない場合は買付予定株券の上限を超える買付けに応じる申し出があった場合には部分的買付け(各株主から案分で取得する方式による)をすることができる(金商法27条の13第4項柱書・2号・5号)。
3――スクイーズアウトとしての株式併合
4――公開買付け買い付け価格・端株の買取価格
5――SBI新生銀行公開買付けで行われた手続
6――おわりにかえて
5――成年後見制度をめぐる今後の課題
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保険研究部 取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長
研究領域:保険
研究・専門分野
保険業法・保険法|企業法務
【職歴】
1985年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所 内部監査室長兼システム部長
2015年4月 生活研究部部長兼システム部長
2018年4月 取締役保険研究部研究理事
2021年4月 常務取締役保険研究部研究理事
2025年4月より現職
【加入団体等】
東京大学法学部(学士)、ハーバードロースクール(LLM:修士)
東京大学経済学部非常勤講師(2022年度・2023年度)
大阪経済大学非常勤講師(2018年度~2022年度)
金融審議会専門委員(2004年7月~2008年7月)
日本保険学会理事、生命保険経営学会常務理事 等
【著書】
『はじめて学ぶ少額短期保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2024年02月
『Q&Aで読み解く保険業法』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2022年07月
『はじめて学ぶ生命保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2021年05月