ユーロ圏失業率(2023年5月)-失業率は6.5%の低水準で横ばい

2023年07月03日

(高山 武士) 欧州経済

1.結果の概要:失業率は6.5%で横ばい

6月30日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏失業率(20か国、2023年5月、季節調整値)】
失業率は6.5%、市場予想1(6.5%)と一致、前月(6.5%)から横ばいだった(図表1)
失業者は1101.4万人となり、前月(1107.1万人)から5.7万人減少した

 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:若年失業率も13%台で横ばい推移

ユーロ圏(20か国)の5月の失業率は6.5%で、4月(6.5%)から横ばいで統計データ公表以来の最低値で推移している。また過去データにはほぼ変更がなかった。

失業者数は5月の前月差で5.7万人減となり、22年1月以降5か月連続で減少した(図表3・4)。主要4か国では、イタリア(▲3.4万人)とドイツ(▲0.1万人)では失業者が減少したが、フランス(+1.2万人)とスペイン(+1.7万人)は増加している。

5月の若年失業率は13.9%で、4月(13.9%)から横ばい、22年5月に記録したコロナ禍後の最低値(14.0%)を下回る推移が続いている(図表2)。なお、若年失業率の過去データもほぼ変更がなかった。

若年失業者数は5月で222.6万人(前月差1.1万人)となり、23年1月以来の前月比増加となった。若年失業者数はコロナ禍後の最低値(216.3万人、22年2月)を上回る状況ではあるが、コロナショック直前の水準は下回っている(図表4)。
国別の4月のデータを見ると、失業率はデータが公表されている20か国中、悪化した国が3か国、改善が9か国、横ばいが8か国だった(図表5)。また、若年失業率は公表されている16か国中、悪化した国が6か国、改善が9か国、横ばいが1か国だった(図表6)。国によりバラツキはあるものの、4月に続き5月は改善した国が多かった。
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者と非労働力人口が減少、就業者が増加した。労働参加率も緩やかに上昇傾向にある。ポルトガルは失業者が大幅に減少し、就業者が増加したが、非労働力人口も増加した(図表7・8)。労働参加率は足もとで頭打ちとなっているが、水準はかなり高い状況にある。
 
 

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経済研究部   主任研究員

高山 武士(たかやま たけし)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴

【職歴】
 2002年 東京工業大学入学(理学部)
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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