韓国の生命保険市場の現状-2021年と2022年のデータを中心に-

2023年05月31日

(金 明中) 社会保障全般・財源

■要旨
 
  • 韓国の生命保険協会が2021年12月に発表した「生命保険性向調査」によると、2021年における生命保険の世帯加入率は81.0%で、2018年の86.0%に比べて5.0%ポイントも低下した。
     
  • 2021年の収入保険料は、一般勘定の収入保険料(77.1兆ウォン)が対前年比3.4%減少したものの、特別勘定の収入保険料(42.4兆ウォン)が対前年比6.5%増加した結果、対前年比0.1%減少した(119.4兆ウォン)。
     
  • 2021年時点の収入保険料の払込方法は、月払が75.0%(89.6兆ウォン)で最も多く、次いで、一時払(14.5%、17.3兆ウォン)、年払(10.3%、12.3兆ウォン)の順であり、月払の割合が毎年低下傾向を見せていることに比べて、年払の割合は増加傾向であった。
     
  • 最近は若者の保険外交員離れが続いており、保険外交員の高年齢化も進んでいる。若者が保険外交員になろうとしない理由は、韓国では保険外交員が個人事業主で働くケースが多く、安定的な収入が保障されていないからである。
     
  • 2021年における生命保険業界の当期純利益は約3.7兆ウォンで、前年と比べて8.0%増加した。
     
  • 新型コロナウイルスの影響が長期化する中、韓国における2021年の生命保険の総資産は992.4兆ウォンで、2020年の977.3兆ウォンに比べて1.5%増加した。
     
  • 生命保険の総資産は増えたものの、今後、韓国における生命保険市場の見通しは明るいとは言えない。若者の保険離れが続いており、合計特殊出生率が継続して低下しているからである。


■目次

1――加入状況
2――収入保険料推移
3――保険商品
4――販売チャネルと販売制度
5――収支動向
6――結びに代えて

生活研究部   上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任

金 明中(きむ みょんじゅん)

研究領域:社会保障制度

研究・専門分野
高齢者雇用、不安定労働、働き方改革、貧困・格差、日韓社会政策比較、日韓経済比較、人的資源管理、基礎統計

経歴

プロフィール
【職歴】
独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年9月ニッセイ基礎研究所へ、2023年7月から現職

・2011年~ 日本女子大学非常勤講師
・2015年~ 日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員
・2021年~ 横浜市立大学非常勤講師
・2021年~ 専修大学非常勤講師
・2021年~ 日本大学非常勤講師
・2022年~ 亜細亜大学都市創造学部特任准教授
・2022年~ 慶應義塾大学非常勤講師
・2024年~ 関東学院大学非常勤講師

・2019年  労働政策研究会議準備委員会準備委員
       東アジア経済経営学会理事
・2021年  第36回韓日経済経営国際学術大会準備委員会準備委員

【加入団体等】
・日本経済学会
・日本労務学会
・社会政策学会
・日本労使関係研究協会
・東アジア経済経営学会
・現代韓国朝鮮学会
・韓国人事管理学会
・博士(慶應義塾大学、商学)

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