ユーロ圏失業率(2023年2月)-失業率は低水準で横ばい推移

2023年04月03日

(高山 武士) 欧州経済

1.結果の概要:失業率は横ばい推移が続く

3月31日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏失業率(20か国、2023年2月、季節調整値)】
失業率は6.6%、市場予想1(6.6%)と一致し、前月(6.6%)から横ばいだった(図表1)
失業者は1114.2万人となり、前月(1120.1万人)から5.9万人減少した

2.結果の詳細:労働市場は堅調な国が多い

ユーロ圏(20か国)の2月の失業率は6.6%で、1月(6.6%)から横ばいとなった。失業率は1月に統計データ公表以来の最低値(6.6%)に低下、2月はそのまま横ばいで推移したことになる。なお、過去データの改定による変更はほぼなかったが、1月の失業率がやや改善方向に修正された(1月6.7(改定前)→6.6%(改定後))。失業者数は2月の前月差で5.9万人減となり、22年12月以降3か月連続での減少という形となった(図表3・4、改定前のデータでは年末以降に失業者がやや増加していた)。主要国別に見ても失業者数は減少しており、減少幅が大きい順にスペイン(▲2.7万人)、フランス(▲2.1万人)、ドイツ(▲1.5万人)、イタリア(▲1.4万人)だった。

2月の若年失業率は14.4%で、1月(14.4%)から横ばいだった(図表2)。若年失業率は22年5月(14.1%)をボトムに一時やや悪化したが、足もとでは14%台前半での推移となっている。なお、1月以前のデータはほとんど修正されなかった。若年失業者数は2月で228.3万人(前月差+0.2万人)とごくわずかだが増加したが、若年失業者数は21年後半以降、一貫してコロナショック前を下回り続けている(図表4)。
国別の2月のデータを見ると、失業率はデータが公表されている20か国中、悪化した国が2か国、改善が13か国、横ばいが5か国だった(図表5)。また、若年失業率は公表されている16か国中、悪化した国が3か国、改善が11か国、横ばいが2か国だった(図表6)。
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者が微減、非労働力人口がほぼ横ばいで就業者が微増した。ポルトガルは失業者と非労働力人口が減少し、就業者が増加した(図表7・8)。いずれも、労働参加率は高水準であり、労働市場の底堅さが確認できる。
 
 

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経済研究部   主任研究員

高山 武士(たかやま たけし)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴

【職歴】
 2002年 東京工業大学入学(理学部)
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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