ユーロ圏失業率(2023年1月)-失業率は6.7%で低水準を維持

2023年03月03日

(高山 武士) 欧州経済

1.結果の概要:失業率は横ばい推移が続く

3月2日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。

【ユーロ圏失業率(20か国、2023年1月、季節調整値)】
失業率は6.7%、市場予想1(6.6%)を上回り、前月(6.7%)からは横ばいだった(図表1)
失業者は1128.8万人となり、前月(1124.8万人)から4.0万人増加した

 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:労働市場は底堅い動き

ユーロ圏(20か国)の1月の失業率は6.7%で、前月(6.7%)から横ばいとなった。統計データ公表以来の最低値は22年10月の6.6%だが、22年1月に6%台まで低下して以降、ほぼ横ばいでの推移が続いている。12月以前のデータは改定値では、わずかだが11月と12月の失業率が悪化方向に修正された(11月6.6(改定前)→6.7%(改定後)、11月6.6→6.7%)。

失業者数は1月の前月差で4.0万人増となり、3か月連続でやや増加した(図表3・4)。主要国の失業者数は前月差でイタリアが増加(3.4万人)したが、その他の国は減少しており、減少幅が小さい順にスペイン(▲0.3万人)、ドイツ(▲1.0万人)、フランス(▲1.4万人)となった。

1月の若年失業率は14.4%で、12月(14.3%)から若干増加した(図表2)。若年失業率は22年5月(14.1%)をボトムに一時やや悪化したが、足もとでは14%台前半での推移となっている。なお、12月以前のデータはやや改善方向に修正された(10月14.7→14.5%、11月14.9→14.5%、12月14.8→14.3%)。若年失業者数は1月で228.6万人(前月差+3.2万人)とやや増加した(図表4)。ただし、過去データは改善方向に修正され、若年失業者数は21年後半以降、一貫してコロナショック前を下回り続けている(改定前はコロナショック前とほぼ同水準)。
国別の12月のデータを見ると、失業率はデータが公表されている19か国中、悪化した国が7か国、改善が6か国、横ばいが6か国だった(図表5)。また、若年失業率は公表されている15か国中、悪化した国が8か国、改善が6か国、横ばいが1か国だった(図表6)。
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアもポルトガルも失業者が増加したものの、非労働力人口が減少し、就業者も増加した(図表7・8)。いずれも、労働参加率は上昇傾向にあり労働市場の底堅さが確認できる。
 
 

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経済研究部   主任研究員

高山 武士(たかやま たけし)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴

【職歴】
 2002年 東京工業大学入学(理学部)
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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