組織間関係における重要な役割として対境担当者に着目されている。
組織間関係とは組織と組織の繋がりであり、モノや情報などを介して繋がりを持つものであり、組織はあらゆる外部環境とのやり取りを行っている
4。組織間関係を持つ目的は様々であるが、そのうちの一つとして、資源依存を目的としたものが存在する。組織の発展、存続のためには様々な資源が必要である。それらの資源は単独の組織内のみで補えるものではなく、外部から取り込むことが必要となる。そのために組織は他の組織と関係を持つことによって資源の獲得を図る。日本人住民と外国人住民との関係において考えると、外国人住民においては物質的な支援や生活のための情報などの資源を獲得し、日本人住民においては外国人住民が持つ文化的背景や支援先の情報、住民活動のための人手を獲得することが出来る。
このような目的を組織間関係によって達成するために組織間でのコミュニケーションが重要となる。組織間コミュニケーションとは「
2つ以上の組織間の情報交換および意味形成プロセス
4」であり、その機能には組織間での調整や協力関係を形成するものや共通の目的の共有をするもの、資源の交換を円滑にするもの、学習の促進をするものがある
5。
組織間コミュニケーションにおいて実際に他組織とコミュニケーションを行う役割を持つ者を対境担当者と呼ぶ。対境担当者は他組織との窓口になり、他組織との交渉や組織内への伝達調整を行う役割を持つ
6。活動に参加している住民や国籍の異なる住民とコミュニケーションを取っている住民が対境担当者のような役割を果たすことで日本人住民と外国人住民のコミュニケーションの促進が期待できる。本稿ではこのような役割を果たす住民を「対境住民」とし、コミュニケーションのハブとしての役割を果たすための方策を考える。
4 山倉 健嗣:組織間関係-企業間ネットワークの変革に向けて,有斐閣,1993.
5 山田 啓一:組織間コミュニケーションの機能と対境担当者の役割,経営情報学会 全国研究発表大会要旨集,p.47,2004.
6 Adams, J. S. :The Structure and Dynamics of Behavior in Organizational Boundary Roles, Handbook of Industrial and Organizational Psychology, Rand McNally., 1976.
4――外国人住民と日本人住民のコミュニケーションにおける対境住民