ユーロ圏失業率(2022年12月)-雇用環境は低い失業率を維持

2023年02月02日

(高山 武士) 欧州経済

1.結果の概要:失業率は6.6%で横ばい

2月1日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏失業率(2022年12月、季節調整値)】
失業率は6.6%、市場予想1(6.5%)を上回り、前月(6.6%)から横ばいだった(図表1)
失業者は1104.8万人となり、前月(1102.5万人)から2.3万人増加した

 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:低失業率のなか、雇用は一進一退の状況が続く

ユーロ圏の22年12月の失業率は6.6%で、前月(6.6%)から横ばいで、統計データ公表以来の最低値が続いている。11月以前のデータは改定値では、10月と11月の失業率がやや悪化方向に修正された(10月6.5(改定前)→6.6%(改訂後)、11月6.5→6.6%)。

失業者数は12月の前月差で2.3万人増となり、2か月連続でやや増加した(図表3・4)。主要国の失業者数は前月差でドイツが減少(▲1.1万人)、その他の国は増加しており、増加幅が小さい順にイタリア(0.2万人)、フランス(1.9万人)、スペイン(2.4万人)となった。

12月の若年失業率は14.8%で、11月(14.8%)から横ばいだった(図表2)。若年失業率は22年5月(14.1%)をボトムに悪化したが、足もとでは横ばい推移となっている。なお、11月以前のデータはやや改善方向に修正された(8月15.0→14.9%、9月15.2→15.1%、10月15.0→14.7%、11月15.1→14.8%)。若年失業者数は12月で231.1万人(前月差+0.3万人)と、2か月連続で増加した(図表4)。失業者数は、総数で見るとコロナショック直前(20年3月)を大幅に下回っているが、若年失業者数はコロナショック直前とほぼ同水準となっている。
国別の12月のデータを見ると、失業率はデータが公表されている19か国中、悪化した国が6か国、改善が7か国、横ばいが6か国だった(図表5)。また、若年失業率は公表されている16か国中、悪化した国が4か国、改善が12か国、横ばいが3か国だった(図表6)。
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者が増加したものの、非労働力人口がそれ以上に減少したため、就業者が増加した(図表7)。ポルトガルでも失業者が増加する一方、非労働力人口が減少したが、失業者の増加数が多く、就業者数は減少した(図表8)。総じて見れば、一進一退の動きが続いていると言える。
 
 

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経済研究部   主任研究員

高山 武士(たかやま たけし)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴

【職歴】
 2002年 東京工業大学入学(理学部)
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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