日韓の平均賃金、最低賃金、大卒初任給の比較-購買力平価によるドル換算の平均賃金、最低賃金、大卒初任給は韓国が日本を上回る-

2022年11月30日

(金 明中) 社会保障全般・財源

■要旨
 
  • 日本の賃金水準はバブル経済が崩壊した1990年代から低迷が続いており、欧米の先進国との差が広がっている。最近は隣の韓国との賃金差も縮まり、日本と韓国の賃金水準が逆転したとの報道もしばしば耳にするようになってきた。
     
  • 購買力平価によるドル換算の日韓の平均賃金は2015年に逆転され、2021年の平均賃金は韓国が42,747ドルと日本の39,711ドルを約3,000ドル上回っている。
     
  • 日韓の各年の名目平均賃金をその年の平均為替レートでドル換算した平均賃金は、2021年時点で日本が42,912ドルと韓国の37,174ドルより高い。
     
  • 日韓の為替レートを適用して計算した韓国の2023年の最低賃金は約969円で、日本の全国平均961円を上回っていることが確認された。さらに、韓国では日本とは異なり最低賃金に加えて週休手当が支給されており、週休手当を含めると日本と韓国の最低賃金の格差はさらに広がる。
     
  • 大卒初任給は、1)購買力平価によるドル換算の大卒初任給の場合、2019年時点の韓国の大企業(従業員数500人以上)は47,808ドルと、日本の大企業(従業員数1000人以上)の29,941ドルを大きく上回っていた。
     
  • また、2)日韓の各年の名目平均賃金をその年の平均為替レートでドル換算した大卒初任給も2019年時点で韓国の大企業(従業員数500人以上)が35,623ドルと、日本の大企業(従業員数1000人以上)の28,460ドルより高いことが分かった。


■目次

・日本の低い賃金が話題に
・購買力平価によるドル換算の平均賃金
・日韓の各年の名目平均賃金をその年の平均為替レートでドル換算した平均賃金
・最低賃金
・大卒初任給

生活研究部   上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任

金 明中(きむ みょんじゅん)

研究領域:社会保障制度

研究・専門分野
高齢者雇用、不安定労働、働き方改革、貧困・格差、日韓社会政策比較、日韓経済比較、人的資源管理、基礎統計

経歴

プロフィール
【職歴】
独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年9月ニッセイ基礎研究所へ、2023年7月から現職

・2011年~ 日本女子大学非常勤講師
・2015年~ 日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員
・2021年~ 横浜市立大学非常勤講師
・2021年~ 専修大学非常勤講師
・2021年~ 日本大学非常勤講師
・2022年~ 亜細亜大学都市創造学部特任准教授
・2022年~ 慶應義塾大学非常勤講師
・2024年~ 関東学院大学非常勤講師

・2019年  労働政策研究会議準備委員会準備委員
       東アジア経済経営学会理事
・2021年  第36回韓日経済経営国際学術大会準備委員会準備委員

【加入団体等】
・日本経済学会
・日本労務学会
・社会政策学会
・日本労使関係研究協会
・東アジア経済経営学会
・現代韓国朝鮮学会
・韓国人事管理学会
・博士(慶應義塾大学、商学)

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