2|季節単位で、単年と5年移動平均の指数が設けられている
指数は、四半期の季節単位(12月~2月、3月~5月、6月~8月、9月~11月)で設けられている。そして、単年の季節の指数と併せて、5年移動平均と、当該季節の5年移動平均の指数も設定されている。これは、気候変動を、より長いスパンで捉えようとするものと考えられる。
3|指数は、参照期間からの乖離度の大きさで表される
指数は、高温、低温、降水、風、連続乾燥日、海面水位の6つの項目について、計算される。1981年~2010年の30年間を参照期間として、あらかじめ、各項目について、参照期間中の平均と標準偏差を求めておく。
ある1つの項目に、注目しよう。この項目について、ある四半期の乖離度を求めることにしよう。そのためには、その季節の計数値から、参照期間中の平均を引き算する。その引き算の結果を、参照期間中の標準偏差で割り算する。このようにすることで、その季節の計数値が、標準偏差の何倍くらい、平均から乖離しているかという、乖離度が計算できる。
4|AACI合成指数の計算には、高温、降水、海面水位の指数しか用いない
気候の指数として、6つの項目をとっているが、AACI合成指数の計算には、高温、降水、海面水位の指数しか用いない。低温、風、連続乾燥日を除外する理由は、つぎのように説明されている。
低温 : すでに高温が合成指数に用いられており、気温が強調され過ぎないようにするため
風 : 1995年頃の風速計の最新化で測定方法が変更されており、データが一貫しないため
連続乾燥日 : 合成指数に用いられている降水と、強い負の相関を持つため
これにより、合成指数は、高温、降水、海面水位の3つの指数の平均として、計算されることとなる。
(1) 高温は、上側1%に入る日の割合から算出
指数の作成方法を簡単にみていこう。気候の元データは、オーストラリア気象局(the Bureau of Meteorology, BoM)のものを用いている。以下では、項目別にみていこう。
気温については、112ヵ所のBoMの気象観測所のデータが用いられる
18。
高温は、参照期間中の最高気温の99%閾値(しきいち)を超えた日が、その季節にどれだけあったかという割合でみていく。たとえば、ある年の3月6日については、1981年から2010年までの3月6日とその前後5日間の、合計330日分のデータのうち、4番目に高いデータが99%閾値となる。3月6日の最高気温が99%閾値を上回っていれば、「超過」とカウントされる。このような「超過」の日数が、その季節の日数に占める割合をみる。同様のことを、1日の最低気温についても行い、99%閾値を超えた日数の割合をとる。
この割合から、参照期間の平均を差し引き、その結果を参照期間の標準偏差で割り算してそれぞれの乖離度が計算される。そして、最高気温と最低気温について、乖離度の平均をとって、高温の指数が計算される。
18 参照するデータは、Australian Climate Observations Reference Network – Surface Air Temperature(ACORN-SAT)のもの。長期間観測を行っている112の観測所のデータを抽出する。データ取得方法の違いなどを補正するために、"homogenisation"(均質化)と呼ばれる処理を行っている。