コロナ禍でどんな人が孤独・孤立を感じているのか~「第8回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」より

2022年05月31日

(坊 美生子) 高齢化問題(全般)

■要旨

新型コロナウイルスの感染拡大以降、人々が対面でコミュニケーションする機会が減り、人間関係への不安や、孤独・孤立への不安が若い人を中心に広がっていることを、前回の基礎研レポートで報告した。本稿では、ニッセイ基礎研究所の最新のコロナ調査結果を用いて、どんな人が孤独・孤立を感じているのかを詳しく分析した。その結果、コロナ禍の行動変化の影響では、対面コミュニケーションや移動時間、運動時間、仕事時間、睡眠時間が減った人などが、孤独・孤立を感じている割合が大きかった。また、非対面コミュニケーションやSNS、自宅での飲酒量が増えた人も、孤独・孤立を感じている割合が大きかった。暮らしや社会の変化に対しては、人間関係不安、健康不安、経済不安を抱えている人が、孤独や孤立も感じている割合が大きかった。そのうち人間関係については、単なる希薄化ということだけではなく、自粛生活の延長上に生じる他人に対する監視や非寛容、偏見・中傷といった、眼に見えないネガティブな風潮への不安が、関係していることが分かった。こういった風潮に対する漠然とした緊張感や圧迫感、委縮が、孤独・孤立感につながっているのではないだろうか。

■目次

1――はじめに
2――孤独や孤立への不安を感じている人の割合
3――どんな人が孤独や孤立への不安を感じているのか
  1|生活にどのような変化があった人が孤独・孤立を感じているのか
  2| 暮らしにどのような不安を感じている人が孤独・孤立を感じているのか
4――終わりに

生活研究部   准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任

坊 美生子(ぼう みおこ)

研究領域:ジェロントロジー(高齢社会総合研究)

研究・専門分野
中高年女性の雇用と暮らし、高齢者の移動サービス、ジェロントロジー

経歴

【職歴】
 2002年 読売新聞大阪本社入社
 2017年 ニッセイ基礎研究所入社

【委員活動】
 2023年度~ 「次世代自動車産業研究会」幹事
 2023年度  日本民間放送連盟賞近畿地区審査会審査員

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