1|「第8回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」の結果
ここからは、コロナ禍において、実際に高齢者の外出頻度がどのように変化したかを、ニッセイ基礎研究所の「
第8回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」を用いてみていきたい。本調査は2022年3月23~29日、全国の20~74歳の男女2,584人を対象に、インターネット上で行った。新型コロナウイルス感染前(2020年1月頃)と調査時点での外出頻度(通勤・通学を含む)について尋ねた結果は、図表1、2のようになった。
まず男性について見ると、全体では、コロナ前に41.8%でトップだった「ほぼ毎日」は、コロナ禍では約10ポイント下がって32.3%になった。「週に4、5日」はほぼ変わらず、「週2、3日」と「週1日」、「週1日未満」はやや増加した。
ここからは、2-2|(1)の調査で、外出頻度が週2、3日以下の状態を「非閉じこもり」、週1日以下を「閉じこもり」と定義していることに倣って、同じように選択肢をまとめて、割合の変化についてみていきたい。
高齢世代に注目すると、70歳代では、「ほぼ毎日」と「週に4,5日」、「週に2、3日」を合わせた週2、3日以上の割合は、コロナ前には8割を超えていたが、コロナ禍では7割弱に減った。「週1日」と「週1日未満」を合わせた週1日以下の割合は、コロナ前には7.7%だったが、コロナ禍では3倍近い21.5%にまで増加した。同様に、60歳代では、週2、3日以上の割合がコロナ前には9割近くに達していたが、コロナ禍では8割まで減った。週1日以下の割合はコロナ前には5.3%だったが、コロナ禍では2倍以上の12.4%に増加した。
男性では、外出頻度が週1回以下の割合が1割を超えていた年代は、コロナ前は20歳代と40歳代だけだったが、コロナ禍では全ての年代に広がっていた。また、20歳代と70歳代ではその割合が2割を超えた。
次に女性について変化を見ると、男性と同様に、全体ではコロナ前に34.9%でトップだった「ほぼ毎日」は、コロナ禍では10ポイント以上減り、23.3%となった。コロナ前から男性よりも値が小さいのは、就業者の割合が、相対的に低いためだと考えられる。また、「週に4、5日」はコロナ後にやや減少、「週2、3日」は増加、「週1日」と「週1日未満」は微増した。
女性の高齢世代について見ると、70歳代では、「ほぼ毎日」と「週に4,5日」、「週に2、3日」を合わせた週2、3日以上の割合がコロナ前には約8割だったが、コロナ禍では約7割に減った。「週1日」と「週1日未満」を合わせた週1回以下の割合は、コロナ前の11.8%から23.7%に倍増した。60歳代も、週2、3日以上の割合がコロナ前には8割を超えていたが、コロナ禍では約7割に減った。週1日以下の割合はコロナ前には9.0%だったが、コロナ禍では19.2%と倍増していた。
女性では、週1回以下の割合が1割を超えていた年代は、コロナ前は30歳代と70歳代だけだったが、コロナ禍では全ての年代に広がっていた。また、60歳代と70歳代では約2割に上った。
これらのように、いずれの性・年代を見ても、コロナ禍になって、外出頻度が下がったことが明確になった。