EUソルベンシーIIの動向-EIOPAが2023年適用のUFR(終局フォワードレート)水準を公表-

2022年04月15日

(中村 亮一) 保険計理

■要旨

生命保険会社の責任準備金の評価において重要な意味を持つ、超長期の金利水準の設定に関連して、EUのソルベンシーIIにおいて導入されているUFR(Ultimate Forward Rate:終局フォワードレート)については、2017年5月23日に「UFRの算出とその実施のための方法論に関するコンサルテーション・ペーパーNo. 16/003に関する最終報告書」が公表され、その設定手法等の見直しが行われて、2018年1月から適用されてきた。これについては、保険年金フォーカス「EUソルベンシーIIの動向-EIOPAがUFR(終局フォワードレート)算出のための方法論に関するCPの最終報告書を公表」(2017.5.24)で報告した。

その後、毎年この方式に基づいたUFR水準の見直しが行われてきており、これにより、通貨ユーロに対して適用されるUFRは、2017年まで4.2%が適用されていたが、2018年以降2022年までの5年間は、毎年0.15%の引き下げが行われて、2022年の適用UFRは3.45%となっていた。

今回、EIOPAは2022年4月5日に「2023年のUFRの計算に関する報告書」を公表 して、2023年1月1日から適用されるUFRの水準を発表した。これにより、ユーロに対する適用UFRは2022年と同じ水準の3.45%に据え置かれることとになった。

今回のレポートでは、現在のUFRの設定方式の説明ととともに、今回の報告書の内容及びこれまでのUFRの推移についてまとめている。併せて、関連するトピックについても触れている。

■目次

1―はじめに
2―現在のUFR算出のための方法論の概要
  1|UFR水準の決定方法
  2|年間変更幅の制限
3―2023年のUFRに対する計算結果
  1|概要
  2|今回の計算結果
4―適用UFR水準の過去からの推移と今後の想定
  1|過去からの推移
  2|今後の想定
5―まとめ
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