3PL事業者が求める物流機能と物流不動産市場への影響(2)~3PL事業者の拠点特性と社会的な課題を踏まえた3PL事業者の今後の取り組み

2022年04月08日

(吉田 資) 不動産市場・不動産市況

■要旨
 
  • 全国の大規模物流施設の新規供給量は、2017年以降300万m2を上回る高水準で推移し2021年には過去最高となる500万m2に達した。これに対して、新規需要も非常に旺盛で2018年以降400万m2を超える需要が発生しており、空室率は低い水準を維持している。
     
  • CBRE の調査によると、2015年以降に竣工した大規模物流施設の入居テナントは、3PL事業者を含む「物流業」が5割程度を占めている。物流不動産市場において、3PL事業者を含む「物流業」の存在感は大きく、物流賃貸需要を牽引している。
     
  • そこで、本稿では2回に分けて、大規模物流施設の需要を牽引する3PLビジネスの現状を確認した上で、3PLビジネスの拡大がもたらす物流不動産市場への影響について考えた。
     
  • 第1回のレポートでは、3PLビジネスの拡大過程や3PL事業者の特徴等、3PLビジネスの現状について概観した。今回のレポートでは、3PL事業者の物流拠点の特徴や、物流に関わる社会的な課題を整理したうえで、今後の3PL事業者の取り組み並びに物流不動産市場への影響について考えた。


■目次

1. はじめに
2. 3PL事業者の物流拠点の特徴
  (1)3PL事業者の拠点分布
  (2)3PL事業者が入居する物流施設の建物特性
  (3)3PL事業者が入居する物流施設の立地特性
3. 物流に関わる社会的な課題
  3-1. 物流自動化・自動運転の取り組み
  3-2. 加速するトラックドライバー不足への対応(物流の2024年問題)
  3-3. 物流における環境対応
  3-4. 「フィジカルインターネット」の進展
4. 社会的な課題を踏まえた3PL事業者の今後の取り組み
  4-1. M&Aによる事業規模拡大が続く
  4-2. 共同配送の担い手に
  4-3. 環境配慮が3PLビジネスの拡大を後押し
  4-4. 物流戦略の提案力強化
5. 3PL事業者が物流不動産市場に与える影響

金融研究部   主任研究員

吉田 資(よしだ たすく)

研究領域:不動産

研究・専門分野
不動産市場、投資分析

経歴

【職歴】
 2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
 2018年 ニッセイ基礎研究所

【加入団体等】
 一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)

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