ユーロ圏失業率(2022年2月)-6%台で堅調に推移

2022年04月01日

(高山 武士) 欧州経済

1.結果の概要:失業率は6%台で推移

3月31日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏19か国失業率(2022年2月、季節調整値)】
失業率は6.8%、市場予想1(6.7%)を上回ったが、前月(6.9%)から改善した(図表1)
失業者は1111.5万人となり、前月(1133.6万人)から18.1万人減少した

 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:多くの国で失業率が改善

ユーロ圏の22年2月の失業率は6.8%と前月の6.9%から低下した。前月の失業率が6.8%から改定値で6.9%に悪化したことから、今月もデータ公表以来の最低値を更新したことになる。

また、失業者数は2月の前月差で18.1万人減(1月改定値:▲19.4万人)となり、4月以降の減少数(21年5-22年2月累計)は223.6万人となった。失業率、失業者数ともにコロナ禍直前の状況よりも改善し、さらに改善傾向が継続している(図表3・4)。

若年失業率は、2月は14.0%となり前月(14.3%)から大幅に改善したが、改定値で悪化方向に修正(1月改定前13.9%→改定後14.3%、12月:14.2%→14.5%、11月:14.8%→14.9%)されており、減少スピードは改定前からは減速している(図表2)。若年失業者数は2月で210.1万人(前月差▲2.6万人)だった。
国別の2月のデータを見ると、失業率では19か国中、悪化した国が1か国、改善が14か国、横ばいが6か国だった(図表5)。若年失業率ではデータが公表されている16か国中、悪化した国が1か国、改善した国が14か国、横ばいが1か国だった(図表5・6)。2月は多くの国の失業率が改善に向かったと言える。
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者・非労働力人口が減少し、就業者数が増加したため労働参加率が上昇した(図表7)。一方、ポルトガルでは失業者が微減、非労働力人口が増加、就業者数が減少となった(図表8)。2月はイタリアで中身を伴う改善が見られた一方、ポルトガルは雇用環境の良好な状況が続くなかで今月はやや冴えない結果だったと言える。
 
 

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経済研究部   主任研究員

高山 武士(たかやま たけし)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴

【職歴】
 2002年 東京工業大学入学(理学部)
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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