インド経済の見通し~変異株の流行とインフレリスクが先行きの景気下振れリスクに(2021年度+8.8%、2022年度+7.7%)

2022年03月04日

(斉藤 誠) アジア経済

■要旨
 
  • インド経済は10-12月期の成長率が前年同期比+5.4%(7-9月期:同+8.5%)と低下した。5期連続のプラス成長となったが、景気回復ペースの鈍化を意識する結果だった。
     
  • 10-12月期の高成長は、今年度前半の成長率を押し上げていたベース効果の影響が薄れたことや投資の鈍化による影響が大きいとみられる。
     
  • 経済の先行きは、ワクチン普及の進展に伴うウィズコロナ下の景気回復が続く。来年度予算が始まる4月以降は公共投資の拡大が景気回復をサポートしよう。しかし、新たな変異株が出現する可能性は今後も残り、感染再拡大に伴う活動制限措置の実施により経済活動が停滞する恐れがあるほか、インフレ率の上昇が先行きの消費を下押しする展開も予想され、依然として景気に下振れリスクがある。21年度の成長率は、前年度の実質GDPが低水準だったことによる反動増により前年度比+8.8%(20年度:同▲6.8%)に上昇、22年度が同+7.7%と高めの成長を予想する。


■目次

・経済概況:感染状況改善するも景気回復ペースが鈍化)
・経済見通し:変異株の流行とインフレリスクが先行きの景気下振れリスクに

経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠(さいとう まこと)

研究領域:経済

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴

【職歴】
 2008年 日本生命保険相互会社入社
 2012年 ニッセイ基礎研究所へ
 2014年 アジア新興国の経済調査を担当
 2018年8月より現職

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)