ユーロ圏失業率(2022年1月)-ついに6%台まで低下

2022年03月04日

(高山 武士) 欧州経済

1.結果の概要:失業率はついに6%台に

3月3日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏19か国失業率(2022年1月、季節調整値)】
失業率は6.8%、市場予想1(6.9%)を下回り、前月(7.0%)から改善した(図表1)
失業者は1122.5万人となり、前月(1143.9万人)から21.4万人減少した

 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:若年失業率が大幅に低下

ユーロ圏の22年1月の失業率は6.8%と前月の7.0%から低下し、データ公表以来の最低値を更新した。また、改定値も前月から大きな変化はなかった。失業者数は1月の前月差で21.4万人減(12月改定値:▲21.7万人)となり、4月以降の減少数(21年5-22年1月累計)は209.6万人となった。失業率、失業者数ともにコロナ禍直前の状況よりも改善し、さらに改善傾向が継続している(図表3・4)。

若年失業率は、1月は13.9%となり前月(14.2%)から大きく改善した。また、若年失業者数は1月で203.4万人(前月差▲5.2万人)だった。また、若年失業率は12月までの改定値が大きく改善方向に修正された(12月:改定前14.9%→改定後14.2%、11月:15.4%→14.8%)。若年失業率の低下スピードが目立っている(図表2)。
国別の1月のデータを見ると、失業率では19か国中、悪化した国が5か国、改善が13か国、横ばいが1か国だった(図表5)。若年失業率ではデータが公表されている16か国中、悪化した国が7か国、改善した国が9か国だった(図表5・6)。悪化する国もあったが、大国4か国(ドイツ、フランス、イタリア、スペイン)がいずれも改善しており、全体の失業率低下に寄与したと言える。
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者が減少する一方で、それ以上に非労働力人口が増加、就業者数は減少し労働参加率が低下した(図表7)。ポルトガルでは失業者が増加、非労働力人口は減少、就業者数が減少している(図表8)。いずれの国も雇用環境は改善傾向にあるが、1月については目立った改善は見られなかったと言える。
 
 

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経済研究部   主任研究員

高山 武士(たかやま たけし)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴

【職歴】
 2002年 東京工業大学入学(理学部)
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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