今回は、数詞では表現されないさらなる巨大数を表現するために、四則演算やべき乗等の演算を一般化した「ハイパー演算」の概念や各種の表記法等について紹介してきた。既に述べたように、ここで紹介したものは、巨大数に関するテーマの一部でしかない。いろいろな名称が付与された巨大数が多数存在している。あるいは必ずしも巨大数ということがメインのテーマではないものの、結果的に巨大数の形成に関わってくるような関数やそれらのベースになる各種の理論や体系等についての研究も行われてきている。その意味で、
前回の研究員の眼の冒頭で述べたように、「巨大数」の世界は奥が深くで、どこまで行っても切りがないところがある。
と、ここまで、いろいろな巨大数の一端を紹介してきたが、結局はいかなる巨大数といえども、言ってしまえば、有限数であることに変わりはなく、無限とは一線を画したものとなっている。まさに、この「有限」と「無限」の狭間の中で、過去から巨大数が関係するような研究等も行われてきていると言えるのかもしれない。
学問的には各種の理論や概念等が生まれ、その派生的な結果等として、我々が想像もできない巨大数や巨大関数が生まれてくることになるのかもしれない。ただし、少なくとも実世界を見渡した時には、地球上で観測されるものは、これまでの科学の分析によれば、如何に無限のように見えても、何らかの形で有限に集約されているといえることになる。そして、それらは
前回の研究員の眼で紹介したように、(今回の研究員の眼を踏まえて振り返ってみれば)一定程度我々が認識できる(?)レベルでの巨大数で表現されている。
地球は有限の世界の存在であるが、果てしない(と言われる)宇宙が有限なのか無限なのかについては、いろいろな考え方があるようだ。観測可能な宇宙の広さ(大きさ)についても、宇宙が約138億年前に誕生したとすれば、少なくとも約138億光年(1光年は約9兆4,600億km)(≒1.3×10
23km)はある(ここまで、この研究員の眼をお読みいただいた方にとっては、逆に何だ、その程度の桁数なのかとの印象を持たれてしまうかもしれない)ようだが、これについても実際はさらに大きく、さらには現在でも拡大しているとも言われているようだ。
いずれにしても、現代の科学技術をもってしても、宇宙の解明は未だ途上にあり、その中にあっても、現時点において観測可能な宇宙は宇宙全体のほんの一部に過ぎない、と言うことなのだろう。
その意味で、果てしなく「巨大数」の世界を探求することに、何となくロマンを感じる人がいるのも十分に理解できるのではないかと思われる。