老後資金準備の実態-老後までに準備が必要と考える金額、老後のための貯蓄や投資に1年間で拠出する必要があると考える金額と、実際の拠出額

2022年01月24日

(岩﨑 敬子) 保険会社経営

■要旨

2019年に起こった「老後2000万円問題」は記憶に新しいが、人々は老後までにいくら準備する必要があり、そのための貯蓄や投資に毎年いくら拠出する必要があると考えているのだろうか。そして、実際に、老後のための貯蓄や投資に年間どの程度拠出しているのか。本稿では、人々が老後までに準備する必要があると考える金額と、老後のための貯蓄や投資に1年間で拠出する必要があると考える金額、そして、老後のための貯蓄や投資に現在拠出している金額について、ニッセイ基礎研究所が実施した独自の調査を用いて確認した結果を紹介する。

結果を先取りしてお伝えすれば、「老後2000万円問題」の影響を受けてか、多くの人が老後のために準備する必要がある金額は、2000万円程度であると考えているようだ。また、老後のための貯蓄や投資に1年間で拠出する必要があると考える金額の中央値は100万円だった。一方、実際に老後のための貯蓄や投資に拠出している金額の中央値は50万円であり、必要であると考える金額の中央値の半分にとどまった。そして、拠出が必要と考える金額に現在の拠出額が達している人は、全体の約37%であった。

■目次

1――はじめに
2――調査概要
3――老後のために準備する必要があると考える金額
4――老後のための貯蓄や投資に1年間で拠出する必要があると考える金額
5――老後のための貯蓄や投資に現在1年間で拠出している金額
6――老後のための貯蓄や投資への実際の拠出額が、必要と考える拠出額に達している人の割合
7――おわりに

保険研究部   准主任研究員

岩﨑 敬子(いわさき けいこ)

研究領域:保険

研究・専門分野
応用ミクロ計量経済学・行動経済学 

経歴

【職歴】
 2010年 株式会社 三井住友銀行
 2015年 独立行政法人日本学術振興会 特別研究員
 2018年 ニッセイ基礎研究所 研究員
 2021年7月より現職

【加入団体等】
 日本経済学会、行動経済学会、人間の安全保障学会
 博士(国際貢献、東京大学)
 2022年 東北学院大学非常勤講師
 2020年 茨城大学非常勤講師

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)