ユーロ圏失業率(2021年11月)-失業率は7.2%、7か月連続で低下

2022年01月11日

(高山 武士) 欧州経済

1.結果の概要:失業率は7.2%まで低下

1月10日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏19か国失業率(2021年11月、季節調整値)】
失業率は7.2%、市場予想1(7.2%)と同じで、前月(7.3%)から改善した(図表1)
失業者は1182.9万人となり、前月(1205.1万人)から22.2万人減少した

 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:失業率は7か月連続で低下、若年失業率はコロナ前の最低値を下回る

ユーロ圏の21年11月の失業率は7.2%と前月の7.3%から低下した。また、前月までの改定値もほぼ変更がなく、ほぼコロナ禍前の最低値(20年3月の7.1%)とほぼ同水準となった。

失業者数は10月の前月差で22.2万人減(10月改定値:▲6.6万人)となり、再び失業者の縮小幅が拡大した。4月以降の減少数(5-11月累計)は141.1万人で、失業者の水準もコロナ前の最低値(20年3月の1148.1万人)まであと34.8万人となった(図表1・4)。

若年失業率は、11月は15.5%となり前月(15.8%)から改善した(若年失業率の10月までの改定値は小幅に改善されており、10月は改定前15.9→改定後15.8%だった)。若年失業者数は11月には231.3万人となり、失業率はコロナ禍前の最低値(19年12月の15.7%)を下回り、失業者数は最低値(20年3月の224.4万人)まであと6.9万人という水準となった(図表2)。
国別の11月のデータを見ると、失業率は19か国中、悪化した国が3か国、改善が12か国、横ばいが4か国で、大国のドイツ、フランス、イタリア、スペインはすべて改善した(図表5)。若年失業率は公表されている16か国中、悪化が8か国、改善が7か国、横ばいが1か国となり(図表6)、10月に続き国によって状況にばらつきが見られた。
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアもポルトガルも11月は失業者と非労働力人口が減少し、就業者が増加する形で雇用環境が改善していることが分かる(図表7・8)。労働参加率を見るとイタリアは65%となり、コロナ前の水準に近づき、ポルトガルはコロナ禍前の水準を上回っている。ポルトガルでは広義失業者(未活用労働、labour underutilisation)比率も最低水準で引き続き労働市場のひっ迫が続いていると見られる。
 
 

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経済研究部   主任研究員

高山 武士(たかやま たけし)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴

【職歴】
 2002年 東京工業大学入学(理学部)
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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