また、映画制作会社であった20世紀フォックスは、80年以上にわたり、アメリカのメジャー映画スタジオ「ビッグ6」
1のひとつであったが、2019年3月にウォルト・ディズニー・カンパニーが、20世紀フォックスを含む21世紀フォックスを買収したため、ウォルト・ディズニー・スタジオの子会社(20世紀スタジオへ社名変更)となった。この買収はディズニーが新たに立ち上げる動画ストリーミングサービスのためのコンテンツ強化が目的にあった。2018年ディズニー最高経営責任者(CEO)のボブ・アイガーによって、このストリーミングサービスは「Disney+」と名付けられ、2019年11月12日よりサービスが開始された
2。そして2021年2月からは、ディズニーが独自に製作した既存のコンテンツのみならず、前述した20世紀スタジオ系列の作品やアメリカン・ブロードキャスティング・カンパニー(ABC)のコンテンツが「スター」というブランド名でDisney+内で配信されるようになり、『ホーム・アローン』も同サービス内で視聴が可能となった。併せてDisney+ 2周年にあたる2021年11月12日には、「スター」の目玉コンテンツとして約10年ぶりに続編となる『ホーム・スイート・ホーム・アローン』が公開された。このプロモーションの一環としてアメリカのバケーションレンタル企業であるAirbnbは、『ホーム・アローン』の舞台であったイリノイ州ウィネトカにある住宅に25ドル(約2800円)で宿泊できるイベントを販売した
3。
サブスクリプションサービスが普及したことで、各サービスが利用者獲得のために独自のコンテンツを制作し、差別化を図っている。その中でも本レポートで扱った『ホーム・アローン』のように、過去の人気コンテンツの続編が公開されることも多く、1987年から1995年にかけて米ABCテレビで放送された『フルハウス』
4が『フラーハウス』としてNetflixで配信されたこともその一例だ。また、HBO Max
5では、2021年5月に1994年から2004年に米NBCで放送されていた『フレンズ』
6の再集結エピソードを配信したり、2022年1月1日には大人気映画『ハリー・ポッター』シリーズ公開20周年記念特番を配信予定とするなど、過去の人気コンテンツをフックに、ストリーミングサービス各社は新たな入会者(利用者)を獲得しようと努めている。
1 ワーナー・ブラザース、パラマウント、MGM、20世紀フォックス、コロンビア、ユニバーサルの6社
2 これ以前にディズニーは2015年から英国でストリーミング市場のテストを行っていた。
3 2021年12月12日に定員4名1泊2日という限られた定員であった。
4 北米で1987年から1995年に製作されたシチュエーション・コメディ・ドラマ。妻を事故で亡くした男が、2人の男友達に助けられながら3人の娘を育てていく物語である。日本ではNHKで放送されていた。
5 AT&T傘下のワーナーメディアが提供する、アメリカの定額制動画配信サービス
6 北米で1994年から2004年にかけて放送されたシチュエーション・コメディ・ドラマ。社会に出てもなかなか大人になれない6人の男女の都会的なライフスタイル、友情や恋愛などを描かれている。フルハウスと共に日本で認知度が高いドラマ。
3――米国のネグレクト問題