診療報酬の換算レート-全国一律1点=10円の意義とは?

2021年12月07日

(篠原 拓也) 保険計理

■要旨

日本では、公的医療保険制度の診療報酬において、1点=10円の換算レートが全国一律に適用されている。公的介護保険制度の介護報酬のような、地域ごとの物価水準の違いは、反映されていない。本稿では、その理由や経緯をみていくこととしたい。

■目次

1――はじめに
2――診療報酬制度の経緯
  1|創設当初、診療報酬は道府県ごとに異なっていた
  2|換算レートは変動方式から固定方式に変わった
  3|国民皆保険実現の2年後に換算レートは全国一律となった
3――他の公定価格制度には地域差を設けているものもある
  1|公的介護保険制度の介護報酬は、全国を8地域に区分して設定
  2|国家公務員の地域手当は地域の民間賃金や物価を考慮して設定される
  3|保育所運営費も、全国を8地域に区分して設定
4――諸外国の診療報酬においても地域差が設けられている
  1|米国では、地域変数を用いて地域調整が行われる
  2|英国では、全国標準価格表とは別に3種類の価格が認められている
  3|ドイツでは、州ごとに単価が設定されている
  4|フランスでは、外来医療の診察などの報酬が協約で決められている
5――診療報酬の換算レートに関する考察
  1|1点=10円のまま変わらなかったことで、わかりやすさが浸透した
  2|地方ほど勤務医の給与が高いことにより、全国一律でも公平性が確保されてきた
6――おわりに (私見)
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