韓国の保守系最大野党「国民の力」の新しい代表に36歳の李俊錫(イ・ジュンソク)氏が選出されてから、来年3月に行われる大統領選挙に対する関心が高まっている。若者の多くは、李俊錫氏が大統領候補になった場合、彼を支持したいと考えているだろう。
しかしながら、残念なことに36歳の李俊錫氏は大統領候補になることはできない。1962年に制定された現行の憲法では、大統領の出馬資格を満40歳以上と規定しているからだ。これに対して与野党の若い議員を中心に、満40歳以上に定められた大統領選挙の出馬年齢制限を廃止すべきだという主張が続いている。
さらに、与党「共に民主党」の李洛淵(イ・ナギョン)元代表は6月4日に自身のFacebookに「既成世代が青年を排除し、大統領選挙と政治を独占しようとするのは過去の独裁政権の横暴と何ら変わらない。このような考え方を維持しながら「青年のための政治を述べるのは偽善である。(中略)国家の未来ビジョンについて争う大統領選挙を既成世代の専有物にすることは認められない。」と主張した。
では、海外はどうだろうか。フランスでは大統領の出馬資格に年齢制限を設定せず、18歳以上なら大統領選挙に出馬することができる。2017年には現在のエマニュエル・マクロン大統領が39歳という歴史上で最も若い年齢で大統領に当選した。
また、アルゼンチンでは30歳以上、メキシコ、アメリカ、ブラジル等の国では35歳以上の人が大統領選挙に出馬できるように定めており、韓国よりも年齢基準は低い。一方、イタリアでは50歳以上と韓国より年齢制限を高く設定している。
一般的に、大統領制より議員内閣制を採択している国の方で年齢基準が低い。フィンランドのサンナ・マリン首相は2019年12月に34歳という世界最年少で首相に選出された。そして、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相も2017年に37歳という若さで首相に就任した。
日本では戦前、伊藤博文氏が44歳(1885年)、黒田清隆氏が47歳(1888年)、近衞文麿氏が45歳(1937年)と40代に首相に就任したことはあるが、戦後は40代の首相は現れていない。
オーマイニュース(韓国で設立された市民参加型インターネット新聞サイト)が6月1日に全国の18歳以上の500人を対象に実施したアンケート調査結果によると、「大統領選挙に出馬できる年齢基準を40歳未満に調整すべきだという議論」に対して50.3%が「共感する」と回答し、「共感しない」の44.8%を上回った。
年齢階層別に「共感する」と回答した割合は20代(18歳と19歳を含む)が62.8%、30代が57.2%で全体平均より高かった。一方、50代は「共感しない」が58.5%で、年齢基準を引き下げることに対して反対する人が多いことが分かった。
このようなアンケート調査の結果によると、大統領選挙に出馬できる年齢基準を引き下げることに対して半数以上が賛成する立場を見せている。しかしながら、これを実現するためには憲法を改正する必要があり壁は高い。文政権は2018年に改憲案を出した時に「被選挙権の年齢制限に関する条項を憲法に入れることはまれである」と該当条項の削除を推進したが、その後改憲に対する議論はまったく進んでいない。
しかしながら、最大野党「国民の力」の新しい代表に36歳の李俊錫氏が選出されたことにより風向きは大きく変わった。若手議員のみならず、ベテラン議員や保守系の議員の中でも満40歳以上に定められた大統領選挙の出馬年齢制限を廃止すべきだという意見が出ている。はたして、 2022年3月の大統領選挙で韓国のエマニュエル・マクロン、あるいはサンナ・マリンが誕生するのか、今後の動きに注目したい
1。