3-2. オフィスビルの新規供給見通し
(1) 仙台都心部で進む再開発
仙台市では、老朽化したビル等の建て替えによる高機能オフィスの整備と、企業誘致の促進を目指す「せんだい都心再構築プロジェクト」が2019年7月より始動した。具体的な施策として、「仙台市都心部建替え促進助成金制度の創設」や「高機能オフィスの整備に着目した容積率の緩和」、「仙台市市街地再開発事業補助金制度の拡充」等、が講じられている。
前述の施策は「都市再生緊急整備地域
5」を対象とするが、2020年9月に対象区域を約79haから約186haへと約2倍に拡大した(図表-19)。また、「都市再生緊急整備地域」の拡大と併せて、仙台駅周辺が、東北地方では初となる「特定都市再生緊急整備地域
6」に指定された。
仙台市は、同プロジェクトの助成制度を活用した第一号案件として、「(仮称)NTT仙台中央ビル」の開発を指定した。2017年に閉鎖した「仙台中央ビル」を、19階建てのオフィスビル(延床面積約4万m
2)に建替える計画で2023年に竣工予定である
7。
ヨドバシホールディングスは、「特定都市再生緊急整備地域」の区域内のJR仙台駅東口で、12階建ての複合ビル(延床面積約7.7万m
2)を開発し、2023年の開業予定を発表した
8。
また、仙台市はJR仙台駅西口の青葉通の一部区間を、屋外広場に整備することを検討している。この屋外広場の整備は、青葉通沿道の「GSビル跡地」や「旧さくら野百貨店仙台店」の再開発と連動して行う計画である
9。
「GSビル跡地」では、隣接する商業施設「EDEN(エデン)」との一体的な再開発が検討されている。ただし、「EDEN」を運営するオリックスの関連会社は、入居テナントとの契約期限を2020年1月末から2年間延長していることから、本格的な再開発は2022年以降となる見通しである
10。また、「旧さくら野百貨店仙台店」跡地については、「ドン・キホーテ」などを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスが開発を検討している。オフィスビルとホテルの計2棟を建て、それぞれの低層階を商業施設でつなげる計画で、総延床面積は約11万m
2に達する予定である。着工は2024年度、竣工は2027年度を目指すとのことである
11。
仙台市は、2020年10月に「せんだい都心再構築プロジェクト」に関して、第2弾の施策を公表した。環境に最大限配慮した建築物(グリーンビルディング)の整備を誘導するほか、テナントの移転に支援制度を創設する
12。こうした施策の拡充に伴い、仙台中心部での再開発が更に進展する可能性がある。