コラム

中国、インフラ公募REIT上場へ~計9銘柄、発行総額は5千億円超となる見通し~

2021年05月21日

(胡 笳) 不動産市場・不動産市況

2021年5月19日、中国・上海証券取引所と深セン証券取引所は「インフラ公募REITに関する公告」を発表し、中国における初のインフラ公募REITの上場スケジュールを公表した。同時に、機関投資家向けの説明等販売手続きが始まり、個人投資家は5月31日~6月4日の間に上海証券取引所と深セン証券取引所で公募REITの取引ができることになった。

今回公告されたのは、高速道路、倉庫物流、産業園区、汚水処理施設等の9銘柄で、発行総額は300億元(約5千億円)を超える見込みである。
2020年4月30日、中国証監会と国家発展改革委員会は「インフラセクターにおける不動産投資信託基金(REITs)パイロットプロジェクトの実施に関する通知」を発表し、インフラセクターにおける公募REITが実現に向けて動き出した。その後、約1年をかけて制度整備が行われ、2021年4月21日から中国証監会はパイロットプロジェクトの上場申請書類の受付を開始、約1ヶ月の審査を経て、2021年5月17日に正式にインフラ公募REITが承認された。今回、承認された9銘柄のインフラ公募REITは北京、上海など優先区域に集中し、オリジネーターは今のところ国有企業が中心だが、一例だけシンガポールのGLPによるものもある(図表参照)。

インフラ公募REITの上場は中国としては初めての試みであり、運用経験の不足などから、十分なリスクヘッジができていないことを問題視している投資家も少なくない。一方で、上海証券取引所、深セン証券取所はインフラ公募REIT上場初日の変動幅を30%、その後1日の変動幅を10%に制限し、取引市場の安定性を保ち、投資家に理性的に判断するよう求めている。

社会研究部   研究員

胡 笳(こ か)

研究領域:不動産

研究・専門分野
中国REIT、中国不動産全般

経歴

【職歴】
 2018年 早稲田大学 アジア太平洋研究科 博士(学術)
 2018年 ニッセイ基礎研究所 入社
【資格】
 環境プランナー、国際環境リーダー

【加入団体等】
 日本NPO学会、Nonprofit Management & Leadership(米)

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