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世帯類型別の特徴~現役世帯を中心に「家飲み」支出増加、ウィスキーで非日常感も楽しむ?
(1) 世帯主の年齢別
二人以上世帯について世帯主の年齢別に2020年と2019年のアルコール関連の支出額を比較すると、世帯主の年齢によらず、2020年の「飲酒代」は大幅に減少している(図表2(a))。なお、減少幅は高年齢世帯ほど大きく(65歳以上で▲6割超)、感染による重篤化リスクの高まる高年齢世帯ほど「外飲み」を控えている様子がうかがえる。なお、「食事代」も同様である。
一方、「酒類」は世帯主の年齢によらず増加しており、増加幅は30~50歳代(あるいは25歳~50歳代)の勤労者の多い現役世帯で大きく、2割程度増えている。これまで会社帰りなどに「外飲み」が多かった世帯ほど「家飲み」支出が増えているようだ。
「酒類」の内訳を見ると、全体的に増加しており、特に「ウィスキー」や「チューハイ・カクテル」、「焼酎」の増加幅が大きいほか、若い世帯ほど「ウィスキー」や「清酒」が、高齢世帯で「ワイン」の増加幅が大きい。
なお、支出額自体は、コロナ前の2019年も2020年も、年齢によらず「ビール」や「発泡酒・ビール風アルコール飲料」が多く、これらに加えて若い世帯ほど「チューハイ・カクテル」が、高年齢世代ほど「焼酎」や「清酒」が多い傾向がある(図表3(a))。これらと比べて「ウィスキー」の支出額は年齢によらず少ない。
つまり、コロナ禍で、ビールや発泡酒などコロナ前から日常的に家で飲んでいたアルコールの支出が増えていることに加えて、コロナ前はあまり家では飲んでいなかったものも増えている。以前は、ウィスキーはバーで、日本酒は専門店でというように、主に「外飲み」で楽しんでいた種類のアルコールを「家飲み」で楽しむようになっているようだ。家の中で過ごす時間が増えたことで、気分転換を図ったり、非日常感を楽しむために、これまで挑戦したことのなかった種類のアルコールを楽しむようになっているのかもしれない。
単身世帯でも同様に、世帯主の年齢によらず「飲酒代」は大幅に減少している(図表2(b))。なお、単身世帯では元々男性で、かつ、若いほど「飲酒代」が多く、年齢による差が大きいため(図表3(b))、コロナ禍で「外飲み」が控えられたことで、その減少幅は若い男性ほど大きくなっている(「食事代」も同様)。
一方、「酒類」は、二人以上世帯とは異なり、増加しているのは若年(男性)世帯のみであり(若年女性は元々支出額が少ないためかおおむね同様)、中高年世帯ではむしろ減少している。これは、単身世帯の調査対象世帯数が少ないために30~50歳代が合算されており、年齢による特徴が出にくい影響のほか、二人以上世帯では、世帯主の子など他の家族の特徴も反映される影響がある。一方で、若年世帯を除くと、単身者の方が健康維持や予防意識が高い可能性もある
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なお、「酒類」の内訳は、二人以上世帯と同様、単身世帯でも男性の若年世帯を中心に「ウィスキー」や「焼酎」、「発泡酒・ビール風アルコール飲料」の増加が目立つ。