「合同(congruence)」とは、幾何学,整数論などで使われる用語である。
(1) 幾何学での合同
2つの図形AとBが,移動によって重ね合せられるとき、AとBは合同であるといい、A≡B と書く。この意味での「合同」はまさに、相似の特別なケースに相当することになる。
(2) 整数論での合同
2つの整数 a ,b があって,a-b が m で割り切れるとき,a ,b は m を法として合同(a は b に mod m で合同)であるといい,記号で a≡b(mod m) と書く。
(1) 幾何学での合同記号
幾何学における合同記号「≡」(3本線)については、欧米で使用されている相似を表す記号「~」に対して、等しいことを意味する「=」としての「-」を付けて、さらに「=」と区別するために「≡」になったと言われている。
同じくフロリアン・カジョリ(Florian Cajori)の文献によれば、概ね以下のように記述されている。
合同のための記号を最初に導入したのは、相似記号と同じく、ゴットフリート・ウィルヘルム・ライプニッツ(Gottfried Wilhelm Leibniz)で、彼は、1679年の未発表の原稿で、図形の合同を表す目的で、「~」の下に「-」をつけた記号「
」を使用した。なお、 ライプニッツの合同記号が印刷版で最初に登場したのは、1710年のMiscellanea Berolinensiaの中のライプニッツによるとされている匿名の記事「Monitum」においてだった。この時には「
」の下に「-」を付けた記号が使用されていたようである。
1717年には、クリスティアン・フォン・ヴォルフ(Christian von Wolff)が、「= et ~」と書き表している。
1777年には、ヨハン・フリードリッヒ・ハセラー(Johann Friedrich Haseler)が、Anfangsgründe der Arith., Alg., Geom. und Trig(Lemgo)、Elementar-Geometrieで、=の上に「
」を付けた記号を使用した。
1824年には、カール・ブランダン・モルワイデ(Carl Brandan Mollweide)が、ユークリッドのElementeで、「=」の上に「~」をつけた「≅」を使用した。
一方で、「≡」の使用については、ハンガリーの数学者ファルカシュ・ヴォルフガング・ボヤイ(Farkas Wolfgang Bolyai)の1897年の著書等、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、数多くの数学者によって使用された。
現在、多くの国で、合同記号として「≅」が使用されており、日本において使用されている「≡」は、英国でも幅広く使用されているようではあるが、世界においては少数派となっているようだ。
(2) 整数論での合同記号
一方で、整数論においては、ヨハン・カール・フリードリヒ・ガウス(Johann Carl Friedrich Gauß)が、1801年に「Disquisitiones Arithmeticae」で数の合同の記号として使用した。